イランの初夏・旬の味~ドルメ~

イラン料理がまずいというわけでも嫌いというわけでもありません。まあ、バラエティ豊富というわけでもありませんが、少なくとも家庭料理は旬の素材を使って時間をかけて調理されるため、美味しいものが多いです。
自分でもいくつか作り方を学んだ料理もありますし、日本に居た頃から、「食べた感じ」で「再現」していくつか作ってみたりもしていました。
中でも私が好きなイラン料理に、「ドルメ」があります。ドルメとは、トマトやピーマンの中をくり貫き、中にハーブで味付けした米や肉を詰め込んだ料理、あるいはブドウの葉でそれらを包んだ料理で、広くイラン~アラブ~トルコ~ギリシャ~東地中海(バルカン半島の国々)に共通した料理です。
いや、イランでは正確にはこの料理、アゼリー(アゼルバイジャン)系の人たちの料理なのかもしれません。というのも、私は一般のレストランでの外食でドルメに出逢った経験がないから(北川さん情報では、ドルメを出すレストランもあるそうです)ということと、もともとはこのドルメ、オスマン宮廷料理であったことからイランでもトルコ系(アゼリー系は一般にイランではトルコ人と呼ばれる)の人々の料理として通っているのではと思っていたのです。そもそも、ドルメ(トルコでは「ドルマ」という語は、トルコ語の「ドルマック」(包むという意味の動詞)から来ているのだそうな。それが、ギリシャに入ると「ドルマデス」となり、イランではドルメ。
ずいぶん前にこのブログでは、トルコのドルマの作り方をご紹介したことがあります。
(レシピはこちらの過去記事を参照ください)
また、同じ詰め物料理系で、ギリシャのイェミスタもご紹介しました(こちらはさらささんのレシピによる)。
トルコは、トマトに詰めたもの(ドマテス・ドルマス)と、ブドウの葉バージョン(ヤプラック・ドルマス)の両方を作りました。ギリシャは「詰め物」の方しか作っていませんでしたので、春先にギリシャに旅行に行った際に食べた、ブドウの葉ならぬキャベツ(冬はブドウの葉がないので、基本的にキャベツで代用)のドルマデスの写真を載せておきます。
さてさて、話はあちこちに飛んでいますが、ここのところテヘランの市場や八百屋では、生のブドウの葉が登場する季節となりました。ブドウの葉は、初夏~夏に収穫し酢漬けにしたものを、冬場でも見かけることがありますが、やはり新鮮なブドウの葉で作ったドルメは、イランの夏の風物詩となっています。去年もブドウの葉が出回り始めた頃早速にドルメを食べたのですが、今年も市場に登場した新鮮なブドウの葉に刺激を受け、職場のアゼリー系の料理人(何せ私の周囲は友人も含め、アゼリー系だらけなのだ)にお願いしてドルメを作ってもらいました。
イランのドルメの中身は、米、挽肉、レンズ豆をいくつかのハーブとトマト・ピューレで味つけしたもの。
ブドウの葉は先に茹でておき、その後具を包み込み、さらに煮込んでいる様子。
トルコのドルマが基本は甘めの味付けに対し、イランのものは、レモンのみならずトマトピューレの味も手伝ってか酸っぱめです。イラン人は概して酸っぱいものが好きなので納得ですが。ギリシャのものもレモン汁入りのベシャメール風のソースがかかっていて酸っぱかった記憶があります(上のドルマデスの写真参考)。
この3者の中では、私はトルコが好きですね~。↓
日本に帰ったらブドウの葉はなかなか手に入らないのですが、イランの味が恋しくなった頃に、イランバージョンのドルメも作ってみたいと思っています。
今後も思いついたら、季節物・季節料理をご紹介していきますね。

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この記事へのコメント
いつ読んでも面白い記事ですね!
ドルマはいかにも外国の料理って感じなので興味を持っていました。一つくらいそういう料理を作れるようになりたいな、と思っても、めんどくさがりの私は作った事が無いのです。
キャベツのドルマってあるんですね!それなら私も作れるかも~
葡萄の葉って日本では売っているのを見たことがありません。葡萄狩りに行って、葉っぱも沢山下さい!!!というしかないのかな(笑)
米の含有率がイランものに比べて高く、
小さなおにぎり感覚でなじみがあるからだと思います。
アレがなぜかエフェスビールと合うのは何故だろうか、と
今トルコに思いを馳せてます。また行きたい。。。
またまた里心つくような記事書いてくれちゃって(笑)
ブドウの葉っぱの塩漬けはあるのかな?と丁度思っていたところでした。酢漬けかと思って。
クワの実も食べたいよう。
ドルメ(アラブは、碧さんが書いているようマハシですね!)、私は実はアラブの国では食べたことがないんです。私が訪れたことがあるアラブがマグレブだけだから?とも思いますが(基本、東地中海の料理かと・・・)、karimaさんはチュニジアで出逢ったこと、ありますか?このお料理、中の詰め物に関してもトルコのものがやはり一番手間がかかっていると思います。ぜひオリジナルバージョンでお試しください。ブドウの葉は、新鮮なものを分けてもらえればベストですが、以前の記事からリンクを貼っているイラン料理屋のザクロカフェでも、瓶入りのものを売ってましたよ。
そうか~。確かに、トルコのものはご飯!ってイメージですね。そして、サクラの葉のような味がするブドウの葉、イランと違ってジャポニカ種の小粒米を使って少しもちもちしているし、トルコのドルマは桜餅系かも??
そして、エフェスと相性がいいのね!
いいな~、お酒が飲める方はそういう楽しみがあって。
試験が終わったら旅行三昧してください。それまで頑張れ!
ああ、そうそう。今は桑の実の季節でもありますね~。生の(シロップ漬けの)美しい翡翠色の桑の実が出回ってます。エジプトでも同じように食べるのかな・・・
暑すぎるのでは?
ブドウの葉は、手に入るのですが、もし塩漬があったらなーと思って。
ブドウの葉、ザクロのは塩だったか、酢だったか・・・
でもイランだから酢漬けな気がする・・・
何かのついでの時に、アリーさんに尋ねてみて!
まあ、トルコと比べるとどうしてもねえ・・・
ああ!ピデが食べたい!
ギリシャのドルマデスにかかっている白いソースは「アブゴレモノ」といって卵とレモンをソースにしたものなんです。他にミートボールや豚肉とセロリの煮込みの時などに使いますが、レモンの量で酸味を調節できるようです。私はあまり酸がきつくない味付けが好き。
ドルマデスにかける場合もあるんですよね。私の記憶では友人宅の家庭料理では、いつもレモンの薄切りだけをのせてそのまま食べることも多かったように記憶しています。
また、ドルマデスの中身も米にひき肉を入れるか入れないかの好みについてギリシャ人のおばさん達がさんざん議論していました(笑)懐かしいです。
ドルマデスも家庭によって色々ですね。ギリシャのおばさんたちの議論の対象となるドルマデス作り、奥が深い料理だな~。いつか夏バージョンドルマデスも食べにギリシャに行きたいな!
あ、ちなみに「アブゴ」ってソースって意味なんですか?
ねえねえ、さらささん、いつか地中海料理大会やりましょうよ!その時、私がトルコとイランのドルメ(ドルマ)作りますから、さらささんはドルマデス担当で(笑)。碧さんにはエジプトのマハシを作っていただくということで(笑)
でも慣れるとこれも中東の味の一つ。八百屋のぶどうの葉も見慣れてきましたが、やはり新しい葉のほうがおいしいのですね。
それに、国別の味の特色、よくわかりました。私も甘めが好きです。でもサラダや飲み物でのヨーグルトの酸味は、酷暑のところではやはり塩味で、すっきりさっぱりがいいという気がします。
miriyunさんは中東諸国をたくさん巡られていますから、いろんな場所でブドウの葉に出逢ってこられたでしょうね。
ブドウの葉は夏場の新鮮なもの、酢漬けしたもの、それぞれに味わいがあると思いますが、私は新鮮なものの方が好きですが。
そうそう、ヨーグルトの味、中東の大部分の国のように乾燥している場所では、やはり水分が奪われるので、塩味のさっぱりヨーグルトが飲みたくなりますねぇ。