ラマダンの夜(グナワ・ディフュージョン@渋谷クラブクアトロ)

「ラマダンの夜」が明け、新しい週が始まったにも関わらず未だ引き摺ってます、余韻を。
絢爛豪華な「ラマダンの夜」を締めくくったのは、グナワ@クラブですよ。完璧です。
シアター・コクーンのグナワメインのステージも勿論楽しかったけど、ラガ・ロック中心のこちらのステージも大盛り上がりでしたよ。
それに、ラガ・ロック中心のメニューとは言え、お約束の「チャチャカチャチャカ」による客席からの入場は忘れません、はい。そして、演目の随所随所にグナワを挟み込み、グナワ・バンドとしても成功していることを強烈に印象付けてくれるステージでした。

この日は、アコースティック・バージョンのコクーンとは違い、メンバーにはドラムス、キーボード、ベースも加わっての公演でした。それだけ、音は厚みを持ってよりキャッチーに響いてきました。
演目も、『スーク・システム(「ペテン師の町」を加えた来日記念盤)』より、グナワ以外も殆どの曲が演奏されたと思います。スタンディングですから、メモ取るわけには行かないですし、大興奮だったため詳細は覚えていませんが。

アルジェリアの旧宗主国であるフランスに対する痛烈な批判を歌った「METROPOLE(本国)」や、軽快な音楽に乗ってブッシュ大統領を滅多切りにする(一部、ウエスタン・カントリーなメロディーを含み、カウボーイ的なブッシュをあざ笑っているのではないかと思える)歌詞を載せた「ITCHAK EL BAZ」、パレスチナ・イラク・レバノン情勢の悲劇的な現状と、国連・アメリカ・手を拱いてみているアラブ諸国をも激しく非難し、「ペテン師」に喩えた「CHARLA-TOWN(ペテン師の町)」。けっこうぞっとするような歌詞だったり、心が痛むような歌詞を歌っていたりするんですが、それらをいとも軽やかに満面の笑みを浮かべて歌っちゃうんですね、アマジーグ・カテブというこの歌い手は。こわい人だ。
それに、コクーンのときにもその歌唱力には驚かされましたが、この人、ほんと歌が上手い。
音域も広いし、なんと言っても、高音部を発声している時でさえ、笑顔を振りまいているその余裕がステキ。・・・ってか、口開ききってないと歌えないであろうはずなのに、なぜあの笑顔を作れるんだ?!(←あ、目だけで笑ってるんだ)

この日、2人の子女?と共に、ステージより三列目・ど真ん中という位置でノリまくってたんですが、この位置、もう最高でしたね!多分、一列目よりも断然目が合う確立高し、ですよ。
アマジーグと目が合うたびに婦女子軍団はメロメロですよ(←バカ)。終わった後に、「あの笑顔、絶対みんな自分に向けられたものだと思ってたよねー」なんて言って、ひとしきり盛り上がったのですが、それっくらいどツボだったんだな、笑顔が。
アイドル的なかわいさと毒っ気の双方を持っている男子は、いつの時代も女子の憧れの的なんですね。
そして、私のとなりではベリー・ダンサーのMishaalさんが激しく踊ってらしたのですが、その妖艶な動きと、長く美しいその御髪が私にふわっと当たってくるのに、すっかり気を良くした私でした(←変態か?!)一方、私の前では某姉御(ゴメン!)が背中に背負ったリュックから突き出た秋の風物・ススキ!が、私の顔をくすぐってくれてたのですが(笑)。

そして、グナワとレゲエ(ラガ)の相性の良さをとくと感じさせられた夜でもありました。
元来「反抗の音楽」であるレゲエとは違い、トランスのための音楽であるはずのグナワ、双方の共通項を見事に抜き出し、解体し、彼ら独自のスパイスで味付けした後、絶妙なブレンドで捏ね合わせた究極のミクスチャー音楽の醍醐味を、小難しい理屈は抜きにして、純粋に身体で味わわせて頂きました。
これまで、グナワもレゲエも、どちらかというと私のテイストには合わない音楽として認識されてきたんですよね。でも、そこにシャアビやロックのテイスト、それにフランスのちょっとアンニュイなニュアンスも加わると、けっこう食指が進む音楽としてできあがるんだなーと思って、食わず嫌いはいかんいかんと反省したのでした。
彼らの音楽性は、喩えれば『スーク・システム』のジャケットに見られるようなごちゃ混ぜ感そのもの。粕谷先生のライナーに書かれているように、『スーク・システム』というアルバムタイトルのコンセプトは、「あらゆる要素が集う「スーク」のシステムが、グローバリゼーション時代の非人間的なマーケットシステムに対置されている」ということ。そして、その「スーク」の中には、例えば「BUSH-RIE HALAL ブッシュのイスラーム教徒用生肉=屠殺屋(ライナーより引用)」があったり、PEPSI コーラとシーシャ(水タバコ)が合わさった嗜好品に酩酊する男性がいたり、またインティファーダの闘士風の男性がロバに乗り、腕にはガン(銃)ではなく楽器(ゲンブリ)を携えていたりする「スーク」なのだ。(このジャケ、questaoさんは絶対お好きだよな)

もちろん、怒涛のグナワ・パートも楽しめましたよ♪
今回はスタンディングですからね!
カルカベの三連のリズムと、ゲンブリのぼよよ~んな響きに身を任せ、耳を集中させていると、あらら、周りの人たちとのシンクロニシティを感じてきちゃうんですねー。
もちろんトランス状態にまでは行きませんでしたが、「みんなホントに楽しんでるんだー」と、お互いに思う気持ちが、すっごい心地よい空間を作り出していました。
グナワ・ディフュージョンのメンバーも、演奏しながらみんな満面の笑みを湛えてるんですよ!
それだけ、演る側も受け取る側も気持ち良いライブになったということでしょうか。
できることならこのパートだけで1時間くらいやってほしかった~!なんて思わなくもなかったんですが、もう若くはない私は、終了後ぐったりと疲れきっていたのでした。実際には1時間グナワづくしは無理やね。。。

そして終了後、CDにアマジーグのサインをいただけました。
アラビア語で入れていただけましたよ!
ステージを降り、無造作に髪を束ねた彼は、闘争の詞を歌う激烈なミュージシャンでも、キラキラしたアイドル性を備えたカリスマ・ミュージシャンといった感じでもなく、穏やかで「きれいな」笑みを湛えた色白美形のお兄さんでした(「お兄さん」って・・・同じ年じゃん)。


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この記事へのコメント

えひ山
2006年10月10日 17:59
おおお~、たっぷり堪能されたようで!
そっかー、アマジーグも同い年なんだー。妙に親近感。んで、隣にmishaalさん、前にススキを背負った”あの方”ですか!バンドも特濃なら観客も特濃ですな!!(笑)
しかしやっぱりあのバンドはスタンディングですよねー。来年の夏に屋外でやってくれないかなあ。(そうか!観に行けばいいんだ!)
2006年10月10日 21:37
あぁ~~!たのしそう!
行こうと思ってたのに豪雨に負けて行かず、未練たっぷりに家でグナワ動画とか見て引きこもってました・・。
平日もMitraさんみたいにフットワーク軽くしなきゃ。。
ネレ美
2006年10月10日 23:08
おつかれさまでした~。もー、悩むまでもなかったでしょっ行って良かったでしょってかんじのライヴでしたよねっ、ねっ!?
そしてライヴ翌日からスーク・システムをリピートでどっぷり聞きまくりの私です。あの笑顔を思い出すだけで頬が緩みっぱなしですわ~。そして曲のキャッチーさと歌詞のシリアスさのギャップにめろめろです。(ギャップ萌え)(萌え?)
elly→えひ山さん
2006年10月11日 08:45
えっと、言いそびれていたのですが、私えひ山さんよりひとつ年上です。
そうそう、観客も「特濃」ですよ!
他におもしろすごい人がいましたよ。
夏・野外フェス求む・グナワ・ディフュージョン!沖縄あたりでやってくれないかな?合いそうじゃないですか?←自分が沖縄まで行くかは保障できないが…
elly→acoさん
2006年10月11日 08:48
うーん、それは残念!
確かに、あの日は嵐でした!
しかし家にグナワ動画があるacoさんがすごい。
私、何を隠そう?出不精ですよ。先週はかつてない(これからも多分ない)ほどのお出かけ頻度でした。週末ずっと家にいて、買い物以外一歩も外に出なかったのですが、やっぱり家はいいな、なんて思った私ですから。
elly→ネレ美さん
2006年10月11日 08:54
うん、行って良かった。悩む私を(ライブ行きへと)誘惑してくれたみなさん激しくありがとう♪
「ギャップ萌え」??いろいろあるんですねー(笑)。いや、あの天使と悪魔が同居したような(笑)魅力には誰もがクラッと来るはずよね。それにしても、「スークシステム」聴きまくってますねー。
2006年10月12日 03:10
ここ数日のellyさんブログはコンダ・ロータへ行かなかった悔しさに涙目で読んでおりました。
あ~ぁ、行きたかったっす…。
…はい、『スーク・システム』ジャケ、好きですよ!さすがにellyさん並みの深い考察まではできませんが、僕の場合アラビア語もフランス語も読めませんので、例えば中指を立てた自由の女神や"一服"きめるラスタ・ロバ、バンド・ロゴ(円囲みのA)なんかに彼らの反骨精神を読みとりました。それにしてもこのコラージュは面白いですね。ellyさんも書かれたグナワとレゲエの相性、ごちゃ混ぜ感たっぷりなスークまでも表現し得ていると思います。もちろん中身も好きですよ。この記事読んで貧弱な想像力で未だ見ぬこのバンドのLiveシーンを必死に妄想しつつ聴き直しております。
elly→questaoさん
2006年10月12日 19:20
す、すみません!私が文中でquestaoさんのことに言及してしまったばかりに、無理してコメントをしていただいたことかと思います。
あのジャケット、見れば見るほど細かい部分に気付きますよね。気合入ったジャケだなーと思って眺めております。
グナワとレゲエの共通点については、以前「ニアミス」したJASRACの講座でお話を伺ったんでしたよね!今回実際に共通部分を少しだけ感じられた気がしています。
また近々来日予定があればいいですよね。
そしたらquestaoさん、今度はリベンジだ!

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