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<<   作成日時 : 2009/05/15 00:10   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 13

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つい先日のこと。
少し前の記事の中でご紹介した音楽家Shoureshくんが、我が家に再び遊びに来ました。
彼のCDについては上記の文章の中で少しだけ述べておきましたが、彼に次に会う際に、CDの感想を直接伝えたいと思っていたところだったので、良いタイミングでの再会を果たせました。
私の感想はこう。

「感情を露にすることが困難なイラン古典音楽において、こんなに感情の吐露を感じられた音楽は初めてだった。言葉の使い方は間違っているかもしれないけれど一種の「興奮」のようなものまで感じられた。だけど、その「興奮」は、非常に穏やかで静謐なもの。まるで雨粒が一粒一粒、音の間から静かに零れ落ちるようなそんな感覚」

・・・と、全くもってイラン音楽に造詣が深くない人(笑)兼、自らは楽器を奏でない人の幼稚な感想そのものなんですが、なぜかShoureshくん、意外にも喜んでくれました。

それはともかく、彼からCDの聴き所のようなものを教えてもらいました。実際、その聴き所を全く知識として持っていないと、イラン音楽を理解するのは非常に困難な気がします。
今まですごく曖昧に聞いていた部分が、ぱ〜っと霧が晴れていくような感覚でした。それでも、実際にCDを聴く前には絶対に「予備知識」を与えたくなかったと、彼。
なので、その詳細はここには述べませんが、代わりに、彼が専門とする楽器タール(上記のCDでもタールを演奏)について彼が語ってくれたことをここに書こうと思います。とても詩的な言葉で、とてもイラン人的で・・・
イラン人の(芸術家の)奥深さ、凄さを改めて感じさせられるような言葉で、私にとってはすごく新鮮でもありました。
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「タールのボディの空洞が、新しいものと使い込んだもので、どう違うか解る?」

「イランにある高い剥き出しの山を思い浮かべて。そしてその地層を」

「あれらの山にある地層は、長い年月をかけて、吹き付ける風が刻んだもの。しかし、でこぼこで岩がちな山が、少しずつ、湿気を含んだ風によって滑らかになっていく」

「タールも、出来上がったばかりのものは、ボディの内部がでこぼこなんだよ」

「タールの作り方を見ていればわかると思うけど、木を刳りぬいた後、内部はでこぼこなんだ」

「その凹凸のある表面は、演奏家が弦をかき鳴らし、内部に風を送ることによって、剥き出しの山と同じように少しずつ滑らかになって行く」

「内部を風が駆け巡るんだよ。そして段々に良い音を生み出していく」

その後、彼が言うところの、空洞に風が送られる様子を見せるかのように、静かに弦を一鳴らしして、余韻を楽しみました。

彼は有名な音楽家のお弟子さんでもあるわけですが、その音楽家からは小さい頃からいつも「芸術家はいつも今のことではなく、「地平」を見つめているものだ」と教えられて来たそう。

ひとつひとつの言葉が、なんと含蓄のあることか・・・
話された内容そのものもそうなのですが、その詩的な独特のリズムに酔ったというか・・・

ペルシャ語話者ってずるい(笑)
この言語は、放たれるだけで、ある種の人々の心を惹き付ける。
まさに芸術に向いた言葉だと再確認。

日常の一こまのふとした出来事でしたが、言葉だけですっかり我が家の空気が変わってしまったかのような、そんな静謐な瞬間を久しぶりに体験できたので、つい嬉しくて書いてしまいました。

http://ethno-mania.at.webry.info/200801/article_3.html



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コメント(13件)

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なるほどね〜
ずるい(笑)
生活環境はともかく、ペルシャ語ワールドは存分に楽しんでいただきたいと思います。
それに音楽を楽しめる強みもellyさんにはあるし。
しかし、雨粒について私が他で書いていたら、あなたも(笑)また共鳴していますねぇ

2009/05/15 13:38
ずるい・・・やっぱり?(笑)
やっぱりこの言語は、美しい!特に修辞法が・・・だからこそ、習得が難しい。アラビア語と比べてみて、さらにそれが良くわかりましたよ。
雨粒について・・・
ん?どの記事だったかな?と考えてみました。
あ!『地球散歩』のSingin'in the Rainかな??
何しろ、最初に碧さんの文章に出逢ったときの私の感想は、「この人、私とめちゃくちゃ言葉に対する感性が似ている!」でしたからね〜。
私と碧さんは前世で双子だったということで(笑)
elly→碧さん
2009/05/15 20:21
大ファンのブノワ。氏へのコメントを書いていたのよ。
http://souslarosa.exblog.jp/10899222/
そこで、ここ数日雨粒がはねていたのでねえ。双子ちゃん(笑)

2009/05/15 22:19
ellyさんの感想も素晴らしいです!!
こんな感想を言ってもらえたら、嬉しいでしょうね。
私はボキャブラリーが少ないので、なんでも“すごい!!”しか思い浮かばないです。
こないだパリで絵を見ても、建物見ても、“すごい!!”しか言えなくて。。。
ホントは1つ1つ違う“すごい!!”なんだけど、それを表現する言葉が見つからないんです。。。
ペルシャ語はムズカシイです、ホントに。
きゅきゅ
2009/05/16 02:30
ellyさん、おはようございます。
事情があり、右手のみでキーボードをおしております(笑)。左手って、ありがたい。。。
私もきゅきゅさんと同じ意見で、ellyさんの文面リズム、言葉の襞、素敵だと感じます。言葉の余韻が残りますからね。
さて、音楽というものは、「聴き処」というものがあるのですね。初めは先入観なしに。。。二度目に聴き処を、という繊細なやりとり。人への丁寧な接し方が、嬉しくなるくらい素敵な事かと。
ellyMANIA(笑)としては、碧さんの文面も必読ですね!
NAKA
2009/05/16 07:57
「音楽家の言葉」について
ellyさん、大変ご無沙汰しております。
ヴィータですm(__)m
久し振りにellyさんのブログを拝見致しました。
旅の事や音楽の事...本当に楽しませていただきました。
私は、ポルトガルからの帰国後一気に多忙となり、前回の投稿から実に2年近くご無沙汰でしたが、それも何とか一段落して本日、久々に自分のブログに記事を投稿しました。
因みに今、ヒーリングアルバムの「image」を聴きながらゆったりとコメントを書かせていただいています。
外国生まれの楽器・マリンバのメロディが心地良いです。

私の生活もブログをお休みしていた期間に、大きく変化しました。
その事をご報告がてら早速ブログに記しましたので、お時間のある時にでも是非お越し下さいね!!
それでは失礼します。
ヴィータ
2009/05/17 00:38
お返事遅くなってごめんなさい!
ちょっとネット世界からはぐれておりました。
なるほど〜。
Apple Seedって、変わった名前のバラですね。
雨の雫まで丹念に切り取った写真、とても美しい。
そして言葉のひとつひとつから、ブノワさんの繊細な感性が滴り落ちていて。
そうそう、バラと言えば、イランは今年バラの盛りが遅いようです。今年だったら碧さん、間に合ったのにね・・・そろそろバラ・レポを簡単にやりますね。
elly→碧さん
2009/05/22 19:11
この間はどうもありがとう!
そして、感想を褒めてくださってありがとう(笑)
ペルシャ語で、微妙な感情を美しく表現できるようになったら、本当に一人前だな〜って思います。私には当分到達できそうにありません。ペルシャ語は文法がとても容易に習得できる分、レトリックの習得(要するに感性の問題になるんでしょうが)が、ものすご〜く難しいです。でも、ヤヴァーシュヤヴァーシュ(ゆっくり)頑張りましょうね!
elly→きゅきゅさん
2009/05/22 19:14
偏愛(音楽)機構に行って帰ってきたところです。大変な目に遭われたんですね・・・。そんな中コメント残してくださってありがとうございます。
お大事になさってくださいね。
ペルシャ音楽は即興の部分もありつつも、結局ダストガーの理解なしには、さっぱり解らない音楽なような気がしています。もちろん、その繊細な美しさを素直に感じ取って楽しめば良いのだと思いますが、「音感」があまり無い私には、音楽家の説明がとてもありがたい。理解が断然深まりました。「規則」の間を揺らめく、それぞれの音楽家の感性の発露を見出せれば、この上なくイラン音楽の醍醐味を味わいつくせるのでは・・・
「言葉の襞」「文面リズム」・・・そして「余韻」
音楽が随所に感じられる表現ですね。
すっごく嬉しい感想です。ありがとう!!!
elly→NAKAさん
2009/05/22 19:27
おかえりなさい!
ヴィータさんは、相変わらず「ばら色の生活」を送られているようですね。
ポルトガル行きたいモードが、私の中でまたたかまりました。
これからもお時間ある時に少しずつ更新なさってくださいね
elly→ヴィータさん
2009/05/22 19:28
ペルシャの吟遊詩人といい、芸術家ですね♪
奏でる言葉が、すごーく芸術家。日本ではめったに聞けない話だ(笑)

それにしても、イランの音楽の聞きどころって・・・!?
やっぱり、わからないです。一度、聞いてから聞けばいいのかな?それとも、やはり、その環境に身をおいてから聞かないとダメなのかも(>_<)
マーク
2009/05/27 12:35
イラン人、人によっては、日常生活においても恥ずかしくなるような(?)詩的な言葉を使います。勿論、そういう文化でもあるのでしょうが、やはりこの言語の生み出す力のひとつなのでしょう。同じイスラーム圏でも、アラビア語は思想を言い表すのに適した言葉、ペルシャ語はやはり詩や芸術に向いた言語です。
イラン音楽の聴き所・・・。コメント欄だけで書くのは難しいですが(笑)、ものすご〜く単純に書くと、古典音楽には一定の決まった旋律型がいくつも存在するのですが、その「型」を踏襲しつつ、如何に即興的な部分を捻り出せるかに音楽家の腕がかかっています。だけど、その型を知らない限りは、どこまでが「決まったもの」で、どこからがその人のオリジナリティや革新的な部分であるかを計れないという意味です。
それから、環境は、ある種の音楽においてはやはりある程度重要なのだと思います。特に師から徒へ直接伝えられていく音楽においては・・・。
イラン人はよく「イラン人以外にはイラン音楽はわからないよ」、なんて言います。そんなこと言われたら、絶望的(笑)ですが。
elly→マークさん
2009/05/27 15:07
なるほどぉ〜♪
なんか、クラシックのピアニストがクラシック音楽を尊重しつつ、突然ジャズピアニストとして即興的なアレンジを入れてしまうような感じでしょうか!? ←ますますわからない例えになっているかも(笑)
マーク
2009/05/27 19:09

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