ETHNOMANIA

アクセスカウンタ

zoom RSS 「音楽活動」@アテネ

<<   作成日時 : 2009/04/20 21:55   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 10

前回、「音楽活動」などという仰々しいタイトルを付けてしまったところ、数名のミュージシャンの方が見に来てくださった形跡があったので、とても恐縮しています。ご覧の通り、音楽活動・・・どころか、音楽リサーチにもなっていませんから!前もって言いますが、今回も同じラインで行きます(笑)。何しろ、音楽を中心に据えた旅というわけではなかったので。

そして今日の記事は、現地で起こったことよりも多く、自分の思い入れを語ることになりそうです。

***************************************************************************
アテネでも、イスタンブール同様に短い期間の滞在なれど、出来ることなら生で聴いてみたい!というミュージシャンがいました。
こちらもジプシー・ミュージシャン。但し、セリム・セスレルよりもずっと思い入れがあるミュージシャン(笑)。
「カレ」との「出逢い」は、何期かに分かれているのですが、以下にそれを書きたいと思います。

まずは、90年代の終わりだったと記憶します。
その当時、東京都内でほんの少し交流があったギリシャ人がいました。その人はごくたまに会うだけの間柄でしたが、彼女は私が映画狂い(当時)であることをよく知っていました。ある日、その人に一本のギリシャ映画のフィルムを渡されました。映画のタイトルは『Rom』。そう、タイトルどおりジプシーをテーマにしたものです。当時からジプシーには少なからず関心がありました。本格的(?)にジプシー関連の映画を見始めたのは2000年代に入ってからなのですが、この映画よりも以前にトニー・ガトリフの作品はいくつか見ていたし(ガトリフ作品との出逢いは確か95年)、彼女に渡された『Rom』が(今となってみれば、の話なのですが)、陰なる影響をその後の私に与えたんだと思います。とは言え、実は当時はこの映画、あまり印象に残っていませんでした。今も内容をはっきり思い出せないくらいですし。
で、この映画のサントラの中で、数曲に歌で参加しているミュージシャンKostas Pavlidisこそ、私がギリシャに行ったならばぜひ聴いてみたいと思っていたミュージシャンなのです。
・・・が、この映画に彼が参加していたことも実は数年前になるまで気付いていませんでした。
コスタスを意識したのは2002年(確か・・・記憶が曖昧です)に『Songs of a Greek Gypsy』というアルバムを手にしてから。・・・しかし(「but」が多い文章ですみません!)、このアルバムも、あまり聴くことなく時は過ぎていきました。
なぜか当時はピンと来なかった。
じゃあ、いつそんなに好きになったのか、と言うと、数年前に関口義人さんに頂いたジプシー音楽のCompiled CDを聴いてだったと思います。なぜかその時の出逢いは鮮烈でした。それまで意識して聞いたことがなかったものの、コスタスの哀愁のある歌声に一気にはまってしまったのです。
その後聴いた、関口さんがNHKのピーター・バラカンさんの番組に出演された時にOn Airされた「which land which homeland」(2003年のアルバム『Sar Penen』より)という曲が「極めつけ」でした。どこにも寄る辺のない身であるジプシーの心情を切々と歌う歌詞(タイトルからの類推)と、コスタスの哀愁のある儚げな声の重なりは、自然と涙を誘うものでした。
長々と書いてしまいましたが、これがKostas Pavlidisとの出逢い。
今回、半分図らずも、13年ぶりにギリシャへ行く機会が出来、それならば!と思い、関口さんにコスタスが出演するライブハウスの名前を訊ねてから出掛けた次第でした。

あらかじめ名前からネットで調べた住所を頼りに訪れた「ALAVASTRON」。アテネの中心地の東部にあたるその場所は、観光客が訪れるような場所ではなく、だけど周囲には夜になるとお洒落なバーに変身するカフェが密集する地域でした。ALAVASTRONもライブハウスというよりはカフェ・バー。
残念ながら、コスタスの出演情報など何もなくその場所を訪ねる羽目になりました(なぜかその時はウェブサイトを発見できず)。

訪れた日の演目は「フラメンコ&エスニック・ミュージック&ジャズ!」とのこと。もちろん、取材でもなんでもない数日間のアテネ滞在で、偶然コスタスに会えるわけもなく・・・
まあ、お目当てのライブハウスに来ただけでも良しとしよう・・・と自分に言い聞かせつつ、スタート前のミュージシャンたちのチューニングを見つめていたのでした。
ちなみに、開演前に告げられた演目からは、3つのグループが出演するもの、と想像していました。

実際に演奏が始まったのは11時・・・だったかと記憶します。何しろ、カフェ・バーのオープン自体が10時というギリシャ・タイムですから。
画像

演奏はファンクやラテンテイスト(主にフラメンコ)を取り入れたフュージョンを中心に進みます。
ギターのおじさんとドラムのお兄さんがやたらファンキーでかっこいい。予想(期待)していた音には反したけれど、カフェは一気にグルーヴィなモードに包まれて、客の酒の勢いも増して行きます。全くの下戸の私のみ、取り残された感あり。
・・・が、途中、ブズーキを手にしたお姉さんが、ライカ風の歌を自らのソロ演奏で切々と歌い始めました。このお姉さんの歌自体はあまり声が安定していませんでしたが、私がギリシャ音楽と聞いて想像しているような、短調の哀愁ある歌謡でした。
その後も、凡地中海的な音(アラブ風だったりフラメンコ風だったり)とジャズが交じり合った音楽をところどころ挟みながらライブは進行していきました。
時間も時間だったので最後まで聞けなかったのですが(最後までいたら、いったい何時まで演ったのだろう)、帰り間際、お店のお姉さんに聞かれました。
「どうしてこの場所を知ったの?」と。
確かに、普通にギリシャに観光で訪れるのであれば、ブズーキの生演奏が聴けるタベルナやウゼリアに行きそうなもの。だけど、ギリシャ語が全く喋れない私は、どう見ても観光客。どうやってその店を知ったのか、不思議に思ったお姉さんが尋ねてきたのです。私は「日本の音楽評論家に、この店でKostas Pavlidisが演奏するって聞いて来たんですよ」と答えました。すると、そのお姉さんが言うには、この夜のミュージシャンは、コスタスと一緒にライブ活動やレコーディングを行っている人たちなのだと!言われてみれば、コスタスの「立ち居地」に、ブズーキのお姉さんが代わっている感じではある。
コスタス本人は約一ヶ月前にそこでライブをしたそうで、そんなに頻繁には出演していない模様でした。まあ、何も知らずに来た割には、バンドメンバーの演奏を聞けただけでも、ラッキーといえばラッキー。
次回・・・があれば、今度はちゃんと彼が出演する日を見極めてギリシャ入りしたいものです。
CAFE ALAVASTRON:http://www.cafealavastron.gr/

次に、アテネにある民族楽器博物館について。
以前、『地球散歩』上で、バグパイプの祖先は?ということが話題になったことがありました。その時、おそらくギリシャのツァンブーナがそうなのでは・・・という結論に達したのですが、「散歩」仲間のさらささんがおっしゃるには、アテネにある民族楽器博物館でツァンブーナが見られるということで、この博物館を紹介してくださいました。
画像

この楽器博物館、小規模ながらもなかなか充実したコレクションを誇っているし、展示の仕方にも非常に工夫が凝らされています。運営はギリシャの文化省で、付属の図書館も併設し、史料価値も高い博物館です。
上に挙げたツァンブーナ以外にも、主にギリシャ民謡に使われる楽器類が美しく展示され、それぞれの楽器の音色も、設置されたヘッドフォンで聴くことが出来る上、楽器使用時の写真も展示されていて非常にわかり易い。
画像

画像

美しい装飾が施されたブズーキやリラ、バグラマなどの弦楽器類も見ごたえがありますが、興味深かったのは遊牧民が日常使用しているようなカウベル(?)系の楽器(主に腰に携えて使用したようですが、とにかく重量感があり、見るからにへヴィー)や、ギリシャ正教の聖職者が礼拝のときに使用した長い棒切れのような楽器など、ギリシャの生活に密着した楽器や、様々な民族が共存するギリシャならではの多様な民族楽器類も一堂に会していて、興味は尽きません。楽器好きは必ずや行くべき場所のひとつです。
場所はプラカ地区、ローマン・アゴラ(ローマ時代の市場遺跡)のすぐ脇。入館料は取らないし、人も少ないのでお奨め。(さらささん、ありがとう!)

最後にアテネのCD屋について。
アテネのメイン通りのひとつ、Ag.Konstantinou通りにはいくつかCDショップがありますし、アテネに数軒あるショッピングセンター、Hondos Centerの中にもCDショップが入っていて、なかなか品揃えが良いところもあります。大型チェーンのMetropolisも空港をはじめ数軒ありますが、私は空港内にあるMetropolisがお奨めです。昨今、DVDにばかり重点を置くどこかの空港とは違って、アテネの空港のショップは、グリーク・ポップや歌謡のコーナーがとても充実していました。
また、アテネのオモニア地区、現代のアゴラ(市場)の生肉コーナーから道路を挟んで正面辺りにある、Ihogramは、中でも一番のお奨めです。CDの数も圧倒的に多いし、掘り出し物も多数ありそうでした。店員さんの知識も豊富だし、こちらが求めているものを的確に判断してくれます。ここで買ったものは全て「正解」なものばかりでしたよ。
画像


今回、ライブを始め、あまり民族音楽等を聴くチャンスはありませんでしたが、冬季(初春を含む)のアテネでは、観光客向けの演奏にでさえ、あまりお目にかかれないと思います。遺跡やレストランもそうですが、ギリシャの冬は観光にはあまり便利ではないようです。
音楽をメインで行くのであれば、やはり6〜9月の間に行くべきでしょうか。なんと言っても5月下旬〜8月下旬に野外劇場などで催されるアテネ・フェスティバルがメインなのでしょう。ただ、その時季のギリシャって、とにかくお金がかかるんですよね〜。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
アテネの「民族楽器博物館」結構凄いですね。
とてもきれいに管理されているようですし。

知りませんでした。
イスタン〜アテネのライブレポも充実してました!
gen-chan
2009/04/20 22:18
長いのに読んでくださってありがとう!!
民族楽器博物館、ここまで充実しているものは、他の都市では在りそうで無い気がします。アテネにまた行く機会があるといいですね。
ライブ・・・
イスタンのGaribaldiにもまた行ってみたいし、やっぱりKostasのライブも一回でいいから聴いてみたい!
あ〜あ、またのチャンスが巡って来ないかしら・・・
elly→gen-chanさん
2009/04/20 23:15
コスタス氏の哀愁の声、ぜひ聴いてみたくなりました。
また、CAFE ALAVASTRONでのレポートも一気に読ませていただきました。コスタス氏周辺のミュージシャンの方々も酔いどれの観衆のなかに見つけた異邦人ellyさんが物珍しかったことでしょうね。
それにしてもなにかしらの「縁」を感じずにはいられない出会いだったのではないでしょうか。次回はきっとコスタス氏にお会いできますよ。(←無責任)

ちょっと前にテオ・アンゲロプロス監督『エレニの旅』を観て、その映像美にすっかり打ちのめされたのですが、何だかギリシャが気になってきました…。

あ、それと、拙食堂日誌にフィルターらしきものがかかってellyさんからはご覧いただけないとのこと。
なんだろう、そちらに悪影響のある音源を紹介してしまったのでしょうか(笑)?
…そんな大したこと書いていないんですけどね。
questao
2009/04/24 00:48
長文コメント、ありがとうございます。
コスタス・パヴリディス本人に会えなかったのは残念でしたが、ここで普段ライブをやっているという雰囲気に浸れただけでも良かったです。確かに、皆不思議そうな目線を送り続けていたように思います。
次回・・・、またアテネに行きたいですね〜。(ギリシャ、大好き!)
アンゲロプロスの作品は、「アレクサンダー」「ユリシーズの瞳」「永遠と一日」を始め、私も多くの作品に精神的影響を受けています。中でも「エレニの旅」の映像叙事詩は、完璧すぎるくらいに美しく、秀逸でした。映画宣伝用のポスターのイメージも、未だ頭を離れません。ギリシャ、いいですよね〜。私ももっと深く突っ込みたいです。
それから、パンゲア食堂!見られなくなって本当に悲しんでいます。はてなの人は全滅なのです。
あ、でも実は、「プリンス祭り」がいけなかったのかも?(笑)
elly→questaoさん
2009/04/24 20:23
民族楽器博物館、存在を知ったのが遅かったので一度しか行かれなかったのが残念、おまけに何故か写真もなく「そうそう、こんなだったな」と懐かしく思い出しました。
それからネットに疎かったこともあり情報もあまり得ることが出来ず、ラジオで聞いて気に入ったものをCDショップで歌って購入するくらい・・今となってはellyさんにナビをしていただきながら、現地でギリシャ音楽を堪能してみたかったです。
また、夜に出るということも難しかったのでライブを聴きにいったりも出来ず、このようなレポを読むとワクワクしてきます。
さらさ
URL
2009/04/27 13:41
続きです。
ライブのスタートもギリシャ時間ですからスタートも遅くて終わるのは明け方?という感じですよね。このような場所にいるギリシャ人の生態(?)も観察してみたかったです。
以前、ellyさんがギリシャ人と少し交流があり(東京にもギリシャ人、いるんですね)手渡された映画のフィルムからジプシー、コスタス・・と今につながってきたエピソード、興味深いです。様々な出会いが今につながっている・・・その時は気がつかず後から振り返って、はっとすることってありますよね。
いつかellyさんがアテネで購入された「CDを聴く会」がしたいです!
さらさ
2009/04/27 13:42
あんなプラカ地区のど真ん中(観光スポット)に、あんなに充実した博物館があるとは思いもしていませんでした。さらささんのお陰であの場所を知ることが出来、感謝しています。
CDショップで歌って購入!すばらしい!相手に解らせる歌唱力があることも!!
私はギリシャの音楽については残念ながらあまり詳しくありません。今までそれほど多く聴く機会がなかったのです。ライブに関しても男性も一緒の旅であれば夜遅くに出かけても平気だという意識がありますが、一人でウロウロ遅い時間まで出かけているわけにも行かないので痛いところです。旅の最中だけは男だったらなあと思ったことがしばしば(笑)。(続く)
elly→さらささん
2009/04/27 23:51
ジプシー(特に音楽)との出逢いは、以前さらささんに個人的に少しお話したように、いくつかの時期にまたがっていて、惹かれて行くのにも様々な要因があったのですが(昨夏のイベントで、この辺りのことも少しだけお話しました)、この、ギリシャ人との交流もそのひとつであったことに間違いはありません。日本にギリシャ人は殆どいませんよね。ですから、そういう人に巡り合えたのは、ある意味運命だったのかも??さらささんとの出逢いもありますし、ギリシャという国自体にも「つながり」を感じます。
もしその方が今も東京に居るのであれば、ぜひさらささんをご紹介したかったけれど、今となってはもう連絡先もわからなくって・・・。
アテネで買ったCDは、いずれ必ずさらささんにお聞かせしますよ!(あー、また早く3人での会合を開きたいですね!)
elly→さらささん
2009/04/28 00:00
イスタンブール編に続いて、音楽について全然コメントしない私をお許しください。。。。

なんか、「ギリシャ時間」というのが、妙にツボに入ってしまいまして・・・。

あ、でも、民族楽器博物館は面白そうです♪
マーク
2009/05/07 12:59
音楽以外のコメントも大歓迎です、勿論!
「ギリシャ時間」想像できるでしょ?『地球散歩』常連さんのマークさんなら。
民族楽器博物館は文中にも書いたように、さらささんに教えていただいたのですが、行って正解でした!
elly→マークさん
2009/05/08 03:14

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文

Welcom Map

welcommap
Welcom Map
「音楽活動」@アテネ ETHNOMANIA/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる