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さて、イランに来てから旅する機会が圧倒的に増えてしまった結果、自ずと旅に関するトピックが多くなってしまった当ブログですが、本来は様々な国の料理・音楽に関して書くのが当ブログの特徴でした。イランに来て10ヶ月。気が付けば、音楽に関しては、聴きに行ったコンサートの記録(自分用メモ)以外については殆ど書いていないし、料理については一度たりとも書いていない!料理やレストラン、食べ物の話題って、アクセス数UPに断然有利な話題ですし、音楽に関しては、日本にいた時分にお世話になったり頻繁にブログを訪れてくださっていた方々のことを考えると、やはり書いておくべき話題だったのです。 しかし残念ながら、その双方について、私の心を激しくくすぐったり、奮い立たせてくれたり、これは!と思えるようなものにイランではなかなか出逢えずにいます。あ、音楽に関して言えば、伝統音楽や民俗音楽は別ですよ、念のため。しかし、これらの音楽については私などが書かなくてもHomayunさんの素晴らしいブログがあるので、そちらをご覧になって頂きたいのです。 でも今回、伝統音楽や民俗音楽以外のジャンル、つまりポップスやロックについて、そろそろ何か少し書いておこうかなと思った次第。・・・とは言っても、あまり惹かれる音楽に出逢えていないという状況で、心から好きだとは思えない音楽について何かを書いても、つまらないご紹介に終わってしまう可能性がありますが。 イランの音楽事情について、基礎的な事実として書いておかなければならないことが、まずいくつかあります。 ひとつには、2年以上前に書いたこちらの記事を基本的には参照して頂きたいのですが、イスラーム革命の後、イランで作ることができる音楽、演奏することができる音楽、聴くことができる音楽が著しく制限されたという事実です。 それまで西洋のロック・ポップスにどっぷりと浸かりきっていた国から、ばっさりとその痕跡が消えてしまったということ。その後も90年代後半に至るまで、西洋のポップスどころか、イランの伝統音楽に至るまで、音楽は一概に良くないものだとして扱われてきたこと。西洋ポップスには、アメリカなど海外で活動するイラン人ミュージシャンのものも多く含まれること。但し、西洋ポップスと言っても、一部普通に販売されているCDもあること。これについては、基本的には歌詞の入っていない曲が中心となるため、意外にもインストもののメタル(例:YNGWIE MALMSTEEN)などは普通にCDが出回っています。こういったCDの販売に積極的なのが、イラン各地の民俗音楽の豊富なアーカイブを持つ国営のBarbad Musicだったりするので、これまた驚きです。完全に禁止してアングラで出回るくらいなら、ある程度許可してしまえ!という意図のもとに販売されているのでしょうか?? そして、今でもイランでCDを世に出したり、コンサートを行ったりという際には、その都度、イスラーム指導省(簡単に言うと、イスラームの思想に反しないかをチェックする)の許可が必要であり、その許可が下りるには長い場合には何年もかかることさえある、という事実などです。 その許可を出すための判断基準はまちまちなようなので、どういう音楽がイスラーム指導体制に反するかと一言でご紹介するのは難しいのですが、一番問題になる点は歌詞です。詩は思想に直結しますから。これについては、後ほど具体的な例を挙げて記しますね。 それから、ポップス・ロックである場合も、音楽を構成する楽器陣の中に、イランの伝統音楽に使用する楽器が含まれているこが望ましいとされていること。 また、女性の独唱が、性的なものを連想させる(激しく意味するところが解らない!)という理由で完全に禁止されていることは、絶対に述べて置かなければならないことのひとつ。副唱であれば問題ないということで、コーラスとしてのバンドへの参加、あるいは楽器陣としての参加はありうるわけです。 上の写真のジャケを見ただけでも、絶対ジャケ買いすることはないな(笑)って思われる方が多いんじゃないかと思いますが、とにかく華やかさに欠けますよね。誰がこんなムサイ男がアップで写ったジャケを見て、手に取ってみようかって気になりますかね(笑)? さて、私のペルシャン・ポップス(ペルシャ語で歌っているポップスなので、便宜的に「ペルシャン・ポップス」と呼ぶことにします)を巡る旅は、イランに来る以前から、日本で手に入るロス在住のイラン人ミュージシャンの音源を手に入れることから始まってはいました。でも、イラン国内で発売されているCDに関しては、サリガ・レコードさんに数枚あったものの、それ以外ではあまり触れる機会も無い状態でした。 イランに来てからは、とにかくコピーCDを始め(イランでは著作権の観念が希薄でコピーの出回る率が圧倒的に多い。その中には本来なら手に入れることができないロス在住のイラン人のものも多く含まれる)、手に入るポップスのCDを片っ端から手にとってみました。 10ヶ月のうちに手に入れたポップス系のCDを数えてみたら70枚弱。これって多いのか少ないのかわかりませんが、70枚のCDを聴いてみて、一枚たりとピンと来る音源がなかったと言ったら、どう思われるでしょう? 実際には、イランのCDの単価はとにかく安く、通常350〜400円ほど。紙ジャケのソフトケースのものだと、安いもので100円ほどという信じられない値段。コピーじゃないですよ、これ。しかし、70枚聴いてみて一枚も素晴らしいと思える作品に出逢えないって、金銭的な問題でなく、別の意味で悲しくなってしまうのですよ。イランにおけるペルシャン・ポップスの質の低さ・・・と言ったら言葉が悪いですが、様々な音楽と交わる機会を経なかったばかりに、競争原理が働かず安易な西洋ポップスの受け売りを許容してしまっているという印象が拭えません。それは、古典音楽の世界の高尚さ、奥の深さ、伝統性とあまりにも相反する事実で、一種の驚きでさえあります。 それでも、ロス発信のペルシャンポップスよりは、イラン国内のものの方が、まだ多様性があるように思えます。ロス発のものは、私が知る限り、お決まりのハチロクのリズムに乗ったポコチャカ系テクノとド演歌系歌謡の組み合わせで一枚のCDが成り立っているというパターン。イラン国内のものは、おもしろみや多様性にはやはり欠けるものの、様々な規制・制限がある中で、それなりに頑張ってるなと思えなくもないのです。こちらも基本はロス発と同じなのですが、伝統楽器を使うことが奨励されていたり、歌詞に関して指導が入るためあからさまに恋愛に関する歌詞を使用できないなどの事実があるために、宗教色を出してみたり、古典音楽のフレーバーが入ってみたり。アレンジさえもう少し気が効いていれば、もう少し聴き応えのあるCDも出てくるんじゃないかと思います。 さて、じゃあ、ロス発のペルシャン・ポップスがおもしろくないのは、アメリカのような音楽産業大国にあることと矛盾するじゃないか、と思えなくもないですが、現在100万人とも言われる「テヘランジェルス(ロスのイラン人コミュニティー)」は、思っている以上に閉じられた世界であるという事実(知り合いのイラン人たちから漏れ聴こえる話による)に負っているのかもしれません。アンディのようにハリウッド映画に楽曲が使用されているイラン人ミュージシャンもいるものの、大部分はアメリカ在住イラン人のために聴かれているというのが事実なのではないかと思います。 ・・・と、具体的に例を挙げないとわかりにくいかと思いますので、イラン国内の何組かのミュージシャンをご紹介してみたいと思います。 まず、去年後半、圧倒的に話題になった人、Mohsen Namjooモフセン・ナムジュー。この人の話題を出すのも今さら・・・ではあるのですが、好きか嫌いかは別として、イランの音楽界における話題作りに貢献した人であるのは事実だと思います。 彼がやっている音楽は、自らのリスナー歴を反映したブルースやプログレ、ジャズ・フュージョンをベースにしたもの。彼は今までにも数枚作品を作っていたものの、国内で販売が認められたのは去年の秋に出たこのアルバムが初めて。 というのも、彼が過去に歌った楽曲は、歌詞がクルアーンの章句そのものだったためです。クルアーンを音楽に結び付けて語るのは完全にご法度。彼は海外に活動の拠点を移していたようですが、イラン国内でもアングラでコピーが多く出回り、とうとう新しい作品に関しては発売を認めざるを得ないほどに、時の人、話題の人となってしまったということだと思います。初の正式国内発売となった作品は、イランの古典詩をブルースやプログレ、メタルに乗せて歌ったもの。例えばモウラーナー(ルーミー)の詩をディープパープルに乗せて歌うといった具合(笑)。 彼自身はもともとセタールの奏者でもあったため、作品の中ではセタールの演奏もしています。 次にご紹介するのが、↑Ehsan Khaje Amiri(エフサーン・ハージェアミーリー)という人(*彼の映像はYou Tubeにたくさんありますが、イランではあいにくサイトが開けないのでこちらでは残念ながらご紹介できません)。写真左は、去年11月初旬(だったと記憶する)に出たアルバムながら、昨年度(3月20日がイランの新年)最高の売り上げとなったCD。売れるCDにはやはりそれなりに理由があるわけで、いろんなミクスチャー音楽を聴いていた者の耳には物足りなさがあるものの、フラメンコやバングラとのミックスを試みていたり、頑張ってはいます。何より歌唱力にいたっては、他のポップ歌手を圧倒的に引き離して抜群に歌が上手いし声の伸びがいいと思います。彼のお父さんは有名な古典歌手、イーラジ(ホセイン・ハージェアミーリー)氏。親子で共演した作品『man o baba(『僕とパパ』(笑)』が右です。ちなみにイランで売り上げを伸ばすCDは、毎年イラン暦第8月アーバーン月(西暦で10月末〜11月)に発売されるというジンクスがあるのだとか・・・。実際、この月には多くのCDが世に出るようではあります。 おしまいにArian Band(アーリアン・バンド)。こちらは、以前私のブログでも取り上げたイランを代表するバンド。サリガさんでもCDが販売されていました。 彼らの曲がワールドカップのイラン代表チームの応援歌になったり、「アーリアン」というバンド名も含め、イラン人の誰もが故国に対して抱いている誇りをくすぐる歌詞の内容といい、「ネクラな(笑)」イラン人の心の琴線に触れる、ポップながらも哀愁あるメロディーといい、あらゆる面で戦略的なプロデュースにより、話題性も含め人気グループになる礎石を何年も前に完全に作ってしまったバンド、それがアーリアンだと思います。 その最たる例が、アイルランド人ミュージシャン、Chris de Burghとの共演という話題。 上の写真のアルバムは発売になってからまだ数週間のものですが、この中の一曲は人類愛を歌った、クリス・デバーとのコラボ・共演の曲。 実は、去年の末ぐらいから、クリス・デバーがイランでコンサートを開くのではないかということが、イランでは随分話題になっています。CD販売さえままならない西洋ポップスなだけに、当然のようにコンサートを開くとなると、様々な問題が浮上してきます。一旦実現にこぎつけようとしたクリス・デバーのコンサートでしたが、実現までの道のりはまだまだ遠いようです。数週間前にクリス・デバーはテヘランを訪れ、公演実現に向け記者会見を行ったばかり。 こういった事実も含め、アーリアンはますますイラン国内では話題のバンドとなっているわけです。 さて、去年のベストセラーがエフサーン・ハージェアミーリー。その前の年のベストセラーとなったBenyamin(ベンヤミン)の新作が、もうすぐ発売になるという噂。ベンヤミンは今回ご紹介しませんでしたが、BBCのドキュメンタリー番組に出演したりと、わりあい海外でも知られたイラン人ミュージシャンの一人。BBCのインタビューを見た限り、しっかりと芯の通った活動をしているミュージシャンだと感じました。 ベンヤミンの新作はどうかはわかりませんが、今年こそは「これぞ!」と言える新作に出逢えるといいなあと思うのでした。せっかくイランにいるんですもの。イランの音楽も好きになりたいですよね。 ↑私がいつも大変お世話になっているテヘラン市内のCDショップ外観。 この写真は半年以上前に撮影したものなので、ディスプレイされいてるCDはUp to Dateではありません。 |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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私などは70枚CDを持っているか?大好きなものを擦り切れるほど聞く(ああ、レコードがすき) |
碧 2008/06/22 22:13 |
え〜、イランでは西洋のポップスは聞けないんですか!? |
yuu 2008/06/22 22:17 |
ellyさん、ご無沙汰しております。そして何とも言えぬいい表情のロバちゃんの写真をありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。以前カッパドキアへ旅行したとき、奇岩群そっちのけで探した物憂げに佇むロバちゃん群を思い出してしまいました。どこか遠くへ行きたい(逃げたい)! |
questao URL 2008/06/22 22:30 |
ご無事でのご帰国、良かったです。改めてイランで一緒の旅、楽しかったです。 |
elly→碧さん 2008/06/23 14:40 |
本文中でも書きましたが、西洋のものも全く売られていないというわけではないんですよ。 |
elly→yuuさん 2008/06/23 14:53 |
でも「文化の鎖国状態」、これ、イランに関してある程度当てはまってると思います。街中を歩いていれば、禁止しても自ずと入ってくるものは入ってくるんだなあと感心させられる反面、この時代に珍しいくらいに、西洋資本のお店が少ないことにも驚かされます。その結果が、コピー商品・コピーブランド品の氾濫に繋がるという(笑) |
elly→yuuさん 2008/06/23 14:55 |
突然、ロバさんの写真を送りつけてしまい、ごめんなさい。あのロバさん、悲哀のこもった目をしてましたよね。あの目に弱いんです、私。イランでロバが好きだって言ったら、大概馬鹿にされますけどね。お!カッパドキアはロバ天国なのですね。でもquestaoさんがいらっしゃったのはもう何年も前でしたよね?ここのところ各地で「ロバ車」が急速に減っていってる気がします。が、カッパドキアのような大地が起伏に富んだ場所だと、いつまでたっても運送手段・移動手段はロバ車しかありえないかな?(あ、ロバの話を始めるとやはりつい長くなる・・・) |
elly→questaoさん 2008/06/23 15:04 |
ellyさん!大変ご無沙汰しております! |
えひ山 2008/06/24 00:25 |
ご無沙汰しております。 |
ころん 2008/06/24 17:18 |
イランは極端な例としても、日本、特に東京ほどいろんな音楽・文化に触れることが出来る地ってあまりないですよね。 |
elly→えひ山さん 2008/06/24 20:35 |
こちらこそすっかりご無沙汰しております。 |
elly→ころんさん 2008/06/24 20:38 |
お久しぶりです。イラン国内での音楽事情、現地に行かないとわからないこともたくさんあって、勉強になりました。 |
kisara 2008/07/03 21:31 |
>女性の独唱が、性的なものを連想させるという理由で完全に禁止 |
kisara 2008/07/03 21:32 |
kisaraさん、ご無沙汰しております。なかなかコメントは残せていませんが、相変わらず『異国ポピュラー音楽館』はすごい充実ぶりですね! |
elly→kisaraさん 2008/07/05 22:40 |
kisaraさんの「熟女」っていう言葉に思わず反応(笑)! |
elly→kisaraさん 2008/07/05 22:46 |
ビタ嬢の曲は、そのセピデの2番煎じにしか聞こえませんでしたね・・・一発屋で終わりそうです。 |
kisara 2008/07/06 11:26 |
今となってはビタ嬢のやっている音楽がどういうものだったかさえあまり記憶にありませんが(笑)一発屋認定! |
elly→kisaraさん 2008/07/07 01:00 |
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