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zoom RSS ジプシーを巡る旅(初めての集落訪問)

<<   作成日時 : 2008/03/30 00:15   >>

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画像2月の終わり、約3日間(関口さんは1日半)滞在したイスタンブールの街を後にして、DoublemoonのMくんと共にイズミールへと旅立ちました。イズミールは、エーゲ海に面した人口100万人以上を有する工業貿易都市であり、場所柄、古くからギリシャ・ローマなどの地中海諸国との関係性が深い歴史も抱えています。

1年ほど前に、やはり「ロム」(ギリシャのジプシー)の集落の調査でギリシャを訪れていた関口さんは、イズミールの街を歩くにつれ、「テッサロニキ(ギリシャ北部の都市)に街の雰囲気がよく似ている」という既視感を多く抱かれることとなったようです。実際、この街は1922〜23年のギリシャとの住民交換により、多くのロムがテッサロニキから移り住んできた街ということなのですが、かつてギリシャからトルコへと移り住んできたロムたちも、同じような既視感をこの街に対して抱いたかもしれないという話を、道中していました。この辺りの事情は、最近出版になった関口さん編の『アラブ・ミュージック その深遠なる魅力に迫る』におけるトルコ・イランの音楽を扱かった章でも、関口さんご自身が記されています。

イズミールの街に入ってまず我々がやったこと。
それは、ロマ・カルチャー・ファウンデーションを訪れることでした。ここは、「ロマ」自らによって運営されている基金のようなもので、集落やミュージシャンの情報を得るにはうってつけの場所でした。
ここで代表を務めているY氏と共に、前回写真でご紹介したタルラバシの集落を最初に訪れることとなります。
ジプシーの集落訪問が初めての私にとっては、たとえ今まで関口さんの著書を読んでいた過去があっても、集落訪問の「方法」について、即座にピンと来なかったというか、ジプシーと一緒でなければ、実際の集落訪問はガジョ(よそ者)にとって、ほぼ不可能に近いという事実に即座に思いが至りませんでした。我々を先導してくれるのが、自らジプシーであり、さらに彼らをなんらかの形で代表するような人物であるならば、それだけ集落訪問はスムーズになるということです。

Y氏は、関口さんの意図を良く理解されいていたようで、この日タイプの違う集落を2箇所紹介してくれました。
そのうち、2箇所目に訪れたウルラの集落が、この「ジプシーを巡る旅」全体を通して私に最も強烈な印象を残すことになるとは、この時点では思いも及びませんでした。

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私たちがジプシーに対して持っている典型的なイメージ。
それがどんなものであれ、ジプシーという人々が持つ独特の風貌、匂い、身体が刻みだすリズムは、たとえ歴史が進んでも、そしてどこの国に住むジプシーであれ、実際に何がしか共通している部分があるのではないかと、この集落を訪れることにより強く肌で感じさせられました。そして、彼らの持つ特質の全てがこれほどにも「美しい」と思えたのは、このウルラの集落を訪れたからに他ならないと、今では強く確信しています。
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実際ウルラの集落は、私が映画で観たり本で読んだりして築き上げてきたジプシーの集落のイメージに、今回の旅で一番近い場所だったように思います。
彼らの私たちに対する反応も、ひょっとしたらひょっとして、意図的な部分もあったのかもしれないと思えるほどに、「ジプシー的」なものでした。
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カメラに向かってポーズを決める女性達。何枚写真を撮り続けても、永遠に撮り続けなければならないのではないかと思えるほどに執拗に撮影を迫ってくる子供達。
集落全体の家族「総出演」といわんばかりに、好奇心いっぱいで広場に集まり溢れかえる人々。カーステレオから突然流れ出すウエディング・ソング。誰からともなく自然にダンスが始まり、それが大きな波となっていくその熱狂の過程。
夕闇が迫る小さな広場で繰り広げられるダンスとチャーイによる束の間の饗宴。延々と続く9拍子のリズムが作り出す陶酔の空間。
それら全てが、たとえ彼らが繰り広げるしたたかな演出であっても良いと思えるほどに、私はその瞬間、充足感を身体全体に覚えていました。

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イズミールの街のレストランで日銭を稼ぐミュージシャンのクラリネット・ダルブッカ演奏を聴き、集落を後にする時、関口さんがふとつぶやきました。
「集落の中から聴こえてくる音こそがジプシー・ミュージックなんだよ」
ワールドミュージックとしてCDにコンパイルされたり、クラブミュージックとして使用されたり、クラシック音楽の作曲家が盛んに取り入れ洗練されてしまったジプシー・ミュージックもさることながら、やはりジプシー・ミュージックの真髄は、集落から漏れ聴こえてくる、決して上手いとは言えない泥臭いメロディーなんだと、ジプシー・ミュージックの音源を誰よりも多く聴いてきた関口さんの語る言葉だからこそ、そのシンプルな事実が大きな意味を持って私に響いてきました。

この後にも旅を通してたくさんのジプシーたちに出逢い、いくつもの集落を訪れることになりますし、特にイランでの「ジプシーを巡る旅」は、驚くべき大発見があったりと、実りの多いものではあったけれど、どちらかというと頭で理論的に理解し、整理すべき事実の連続に向き合った瞬間が多かったと言えると思います。もちろん、このウルラの集落でも、彼らの出自や、置かれている状況などを知る上で大きな成果があったわけですが、私にとってウルラの集落は、単純に言ってしまえば「考えるより感じる」部分が多かった「心地よい」場所となりました。
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写真1:ウルラの集落の子ども。この男の子は、子供達の間で中心的存在になっていた?後に関口氏とダンスを繰り広げることに(笑)
写真2:広場には赤ん坊を連れた母親も多く集まる。
写真3:いったんダンスが始まると止まらない!右側にいる大柄な女性がこの集落のdancing queen!?
写真4:子どもたちが次から次に集まってきて撮影をせがむ。
写真5:ミュージシャンによるクラリネットとダルブッカの演奏。左端にはMくんの姿がチラリ。
写真6:ビデオ撮影中、好奇心いっぱいの子供達に囲まれる関口氏。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
貴重な体験をされましたね。
ハンドリッラー
さらさが読んだら興奮しそうな記事(笑)
私は目下、イランとトルコを組み合わせようか、イランに絞ってしまおうか悩んでいます。

2008/04/01 21:55
遅ればせながら、おかえりなさい〜(*^-゚)v
こういう取材って、突然行ってもなかなか受け入れてもらえないだろうし、どうやって入っていくのだろうと思っていました。良い案内人に出会うことが重要なんでしょうか〜。
広場でのダンスや音楽は、ellyさんたち外部の人が来たからという演出ではなく普通の日常だとすると彼らの毎日はとても楽しそうですね♪
wacky
2008/04/02 00:35
ellyさん、とってもご無沙汰しております。チュニジアでお会いしたカオリです。
普段コメントしていませんが、よくブログ拝見していますよ!
ellyさんらしいすてきな旅を続けていらっしゃるようで、見ているこちらも嬉しくなります。
私の方は現在産休中(妊娠9ヶ月!)で、早くまた旅に出たいな〜と思っております。
またお邪魔しますね!
カオリ
2008/04/02 13:06
ほんと、ハムドゥリッラーですよね。
さらささんとは、実はすでに「裏で」盛り上がってます(笑)。
イラン・トルコの旅に関する質問、随時受け付け中です(笑)。トルコもいいと思いますよ〜。
elly→碧さん
2008/04/02 23:30
再び「おかえり」の書き込みをありがとう!
そうそう。集落訪問については、関口さんの本を読ませて頂いていればある程度想像は付くのですが、やはり体験として今回自分の中に蓄積された感じです(ヘンな日本語)。
そして、これが彼らの日常であってほしい!
(エンシャッラー)
しかし、実際には私たちの方が彼らの「見世物」になっている部分の方が大です(笑)。
elly→wackyさん
2008/04/02 23:34
カオリさん!お久しぶりです。書き込みをして頂けるとは〜。いつも読んでいただいて感謝です。チュニジアの旅、すでに4年前ですね。なつかしい。
それにしても妊娠9ヶ月目だったとは!
遅ればせながらおめでとうございます。カオリさんたちは子連れ旅行でハードな場所に行かれそうですよね。旦那さまにもよろしく〜。
elly→カオリさん
2008/04/02 23:38

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