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zoom RSS 情熱、そして哀愁・・・(Flamenco Arabe&Qawwali Flamenco)

<<   作成日時 : 2006/12/24 19:04   >>

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ここのところへヴィー・ローテなCDを2枚、組み合わせてご紹介します。
この秋に、カッワーリー・フラメンコなるものが存在すると知って以来聴きたいと思っていたFaiz Ali Faizとフラメンコ・ミュージシャンたちとのコラボ・ライヴ盤+DVD盤「Qawwali Flamenco」。それから、Hossam Ramzy作品の「Flamenco Arabe 2」。どちらもフラメンコが絡んだCDです。
というのも、この間書いたとおり、私の中でフラメンコ・ブーム再来なんですよ。いや、私の心の底流には常にフラメンコがあると言えばあるのですが・・・。
どちらのCDでもそれぞれ、カッワーリーとフラメンコ、アラブ音楽とフラメンコの素晴らしい出会いが、激しく心を揺さぶってくれます。

まずは、「FLAMENCO ARABE」(2006年)。画像
1. A Caballo: Intro (Jose Luis Monton)
2. A Caballo (On Horseback) (Jose Luis Monton)
3. Awtar W' Haneen (Strings and Longing) (Hossam Ramzy)
4. Nilo (Nile) (Jose Luis Monton)
5. Men Teeba L' El Andalus (From Thebes to Andalusia) (Hossam Ramzy)
6. La Casa de Barry: Intro (Jose Luis Monton)
7. La Casa de Barry (Barry's House) (Jose Luis Monton)
8. Sahret Ghawazy (Gypsy Night of Celebration) (Hossam Ramzy)
9. Arena (Sand) (Jose Luis Monton)
10. El Hombre y el Saidi: Intro (Hossam Ramzy)
11. El Hombre y el Saidi (The Macho Man and the Saidi) (Hossam Ramzy)
12. Pensando en ti (Thinking of You) (Jose Luis Monton)
13. Amil (Jose Luis Monton)
14. Trompetta (Baby Trumpet) (Hossam Ramzy)

Hossam Ramzyと言えば、「エジプトのリズム大使」の異名を取り、パーカッション類のプレイヤーであるばかりでなく、コンポーザーであり、アレンジャーであり、世界中のミュージシャンとコラボし、また彼らをプロデュースし、様々な映画の音楽監修を行い・・・と、その幅広い活躍で有名な、アラブ音楽を代表するミュージシャンの一人で、何も今さらここでご紹介することもないほど有名な方ですよね。私もHossam Ramzyの作品だと意識するより以前から、映画やベリーダンスのCD等で彼の音楽は聴いていましたから。
この「FLAMENCO ARABE 2」(2と言うからには勿論「1」もありますよ)では、フラメンコギタリストのJose Luis Montonとコラボして、伝統的な(または古典)アラブ音楽と、現代的なフラメンコの音の見事な邂逅を、一枚のCDにおいて実現させています。演奏されている音楽は、主にアラブ=アンダルース風のアラブ音楽とフラメンコのミクスチャーだと思いますが、Hossam Ramzy自身は、フラメンコのリズムの中にシャアビ的なものや、砂漠のトライバルな音楽に似た部分、インド的なリズム等も感じていたようです(オフィシャル・サイトより)。一曲の中でそれらの要素が目まぐるしく入れ替わり、それぞれに自己主張を繰り広げます。また、一曲カンテが入る曲もありますが、それ以外はフラメンコ・アラブを基調としたインストゥルメンタル曲で、全てふたりによるオリジナルです(タイトルの括弧書きの部分が作曲者)。

使われている主な楽器はフラメンコ側が、フラメンコ・ギター、アコーディオン等、アラブ側は、ダルブッカを始めとした、Ramzyによる様々なパーカッション類を始め、ナイ(ネイ)、カーヌーン、ウードと言ったアラブ古典おなじみの楽器陣にヴァイオリンが加わった編成。

通常フラメンコギターがリードを取るメロディーの部分を、エッジの「落ちた」カーヌーンやナイがなぞり、ヴァイオリンが情熱的な旋律を奏でる。その背後でフラメンコギターが地味に伴奏を取る。
普通はカホンが奏でるリズムの部分を、ダルブッカのポコチャカというリズムが刻む。
その魅惑的な音の交流の背後から、かつてのイベリア半島を舞台としたアラブとスペインの文化交流の跡が、また、それらが現在に至るまでしっかりと足あとを刻んで来たというその事実が、自信満々に顔を覗かせているかのように思えるのです。

時に、ナイの瞑想的で緩やかな流れに寄り添うように優しく奏でられるギターは、フラメンコギターのイメージを覆す穏やかな世界観を提供してくれます。
またカーヌーンの透明な響きは、激しさに溢れたフラメンコギターの演奏を聴いた時に感じる、胸をかきむしられるような切なさとはまた違った、内面でロウソクの穏やかな明かりがふっと灯って、そして、その炎がちりちりと燻っているかのような静かな情熱を、私の内部に生じさせてくれるのです。
う〜ん、極上の瞑想音楽だ。

勿論、中にはベリーダンスの際、使われそうな(実際使われているのを数度耳にしたことがある曲も。←11曲目)ダルブッカが大きくフィーチャーされたノリの良い曲も収録。ギターとナイ(カーヌーン)の、即興的なやり取りも聴くことができます。
ヨーガのような瞑想状態と、陶酔的なダンスによるトランス、その両方を楽しめるCDです。
ジャケも綺麗ですしね。

で、次は「Qawwali Flamenco(2006年)」。画像
CD 1
1Allah Hu
2No llegaste a quererme - Sal al guisao - La tarara
3Presumes que eres la esencia
4Rahwich Bainan Painda
5No pases por mi calle
6Tere ishq ne nachaia - Con esa morena

CD 2
1Ya Mustafa
2No me hagas tantos planes
3Tango al mar
4Dam Mast Qalandar
5De querer a no querer

+DVD

いや、二つの音楽のコラボということ以前に、それぞれの演奏が素晴らし過ぎっ!
ファイズ・アリー・ファイズの歌の素晴らしさは、ラマダンの夜でも体験済みだったけど、フラメンコという異種の音楽と混淆した際にも、その個性は全く損なわれず、だけど、フラメンコの特徴もすっかり理解した上で、その良さを引き立てようという優しさにも溢れた、懐の深い歌い手だと改めて強く感じました。
対するフラメンコ・チームのカンタオール(歌い手)は、Miguel PovedaDuquende 、そしてギタリストのChicueloの三人。

カッワーリーでおなじみのヌスラットの曲、[Allah Hu](「ハムド」:アッラーへの讃歌)で幕を開けるライヴは、導入部をフラメンコギターが担当。同じくこの曲が一曲目に演奏されたラマダンの夜では、ハルモニウムが担当していました。
静かに始まったギター・ソロが段々と盛り上がっていき、タブラのリズム、手拍子がその隙間を埋め、更にハルモニウムの音色が被っていく。副唱者の声も。そして、その情熱的な出逢いはファイズの歌が入ることで頂点に達する。ひとしきり盛り上がった後、ふっとタブラの音が消え、優しげなギターの音色が響き、フラメンコの旋律と入れ替わる。そして、カンテが心をかき乱す。ふたりの歌い手の絶妙な入れ替わり劇にあっと驚かされる。
不思議なくらい全ての音が穏やかに溶け合っていく。一刻も休むことなく。あたかも、砂漠の砂の山が一刻と同じ形をとどめることがないのと同じように、絶えず、微細な形で変化し続ける音の粒子たち。
初めてこのCDを聴いた時、一曲目が終わる頃には、手にはぐっしょりと汗を握り、鼓動は自ずと早くなっていました。

そもそもフラメンコとカッワーリーの共通項って?
双方ともに、絶叫型?の歌だし・・・(笑)。手拍子(ターリーとパルマ)が、どちらでもリズム隊として重要な役目を果たしてるし・・・。いや、きっとカッワーリーのラーガと、フラメンコの旋律には共通する部分が多くあるのでしょう。あまりにさりげなく、その交流が完成されているので見過ごしてしまいそうですが、その背景には、それらの共通項を素晴らしい直感で捉え、天才的な手法で導き出しているミュージシャンたちの努力の跡が見られるように思います。

[Tere ishq ne nachaia - Con esa morena ] も、カッワーリーとフラメンコ双方の魅力を存分に味わえる豪華な曲のひとつ。曲についての詳細は私は全く分からないのですが、旋律もリズムも、とてもフラメンコ的。楽器もギターのみです(あ、途中で一部、小さくタブラが鳴ったり、ハルモニウムが響く部分もあるにはありますが)。それなのに、ファイズ〜の絶叫が加わると、とてもカッワーリー的に聞こえてくるから不思議。タイトルはウルドゥー語(パンジャービー語?)とスペイン語と双方のものが付いているのですが、オリジナル曲なのでしょうか。
ふたりの「絶叫」が被さり、大団円へと向かって行くラスト部分は圧巻です。

ラストの、伴奏なしで詠われる祈りの旋律。4人の歌い手がそれぞれの方法で歌うのですが、東京のちっぽけな部屋で聴いていることを思わず忘れさせてしまう、空間の広がりを無意識のうちに感じさせてくれる厳かな楽曲。とても心が洗われます。これはぜひ生で体験したい世界観。

地中海地方のミクスチャー音楽が好きな私にとって、アラブとフラメンコの音の邂逅は、勿論のことすんなりと心の抽斗に収められました。
加えて、今年は新たに東へと視線が伸びた年ともなりました。
そのとっかかりとなってくれたもののひとつが、このカッワーリー・フラメンコ。
フラメンコは、東方の音との魅惑的な混淆も実現させる幅広い可能性に満ちた音楽であることがわかりました。また、その逆も然り。カッワーリーの新たな魅力も強く感じさせられました。このCDに出逢えたことは、今年の収穫のひとつです。
ご紹介くださったgwarixさんに感謝!!

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
ellyさん、ごぶさたです…って、ご挨拶も半端なまま"情熱と哀愁"に突き動かされて喰い入るように拝読してしまいました!
以前のellyさんの記事中に"カッワーリー・フラメンコ"なるキーワードに出くわした時は、正直「…キワモノ?」という印象(ごめんなさい)だったんですねぇ。…まだまだっすねぇ、ワタクシ。
とくに『Qawwali-Flamenco』、これ、聴きたいですよぉ。ハルモニウムやファイズのうたで盛り上がるところからスッとフラメンコに替わっていくという件、こんなのきっとスリリングだろうなぁ…。そんな変わり様を「砂漠の砂の山」になぞらえるellyさんの表現も絶妙でした!
こんなエキゾで高次元な混淆は知りませんでした。
…ちょっと待って、お財布と相談して来ますね。
questao
URL
2006/12/25 01:02
 おー!ちょうどうちのブログでも今日「カッワーリー・フラメンコ」の記事を書いたところなんですよー。
 いやーほんとに素晴らしいですよねこれ。そしていつもながらの詳細なレポに汗。くわー!

#questaoさん、これは自信を持ってお奨めできます!
えひ山
URL
2006/12/26 00:50
いえ、こちらこそ最近は読み逃げが多くて申し訳ないです。そして、「情熱」「哀愁」なんて、ベタなタイトルに反応して最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。ベタ過ぎて、自分で恥ずかしくなりました。
えひ山さんも書いてくださいましたが、このCDは本当に素晴らしいです。買いです。
コラボものとして云々以前に、それぞれのミュージシャンがとにかく素晴らしいですしね!
elly→questaoさん
2006/12/26 17:54
びっくりです。ナイスなタイミングでお互いUPしましたね〜。こんなこともあるんですね!
えひ山さんの方で書かれているよう、「お互いの曲を交互に演奏」・・・だから、じゃあそれぞれのCDを聴けばいいじゃんってならないところが、このCDの素晴らしさのひとつだと思います。緊張感と同時に、双方の柔軟性も伝わってくる。コラボものとしてはかなりの優良盤ですよね。
elly→えひ山さん
2006/12/26 18:00
初めまして。えひ山さんのブログ経由でやって参りましたころんです。NAKA-036さんのブログにも入り浸ってますので、ellyさんのお名前は前々から存じておりました。

ところでえひ山さんのブログで「メタル・カッワーリー」の情報をいただきまして、ありがとうございます。「カッワーリー・フラメンコ」と共にチェックしてみたいと思います。

それにしてもellyさんも色々な音楽を聞かれているんですね。それに色んな場所を旅してらっしゃるようで、羨ましいです。

これからも素敵な記事を楽しみにしています。今後とも宜しくお願い致します。
ころん
2006/12/27 11:34
ころんさん、お越しくださりありがとうございます。私の方こそ、NAKAさんのところでころんさんのお名前を度々拝見しておりました。NAKAさんのところに残されているコメントを読ませていただき、世の中にはまだまだすごいリスナーさんがいらっしゃるものだと驚いておりました。
このブログでは音楽話がメインというわけではありませんし、私のリスナー歴など、ころんさんの足元にも及びませんが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。ぜひいろいろ教えてください。
メタル〜については、ファイズのカッワーリー・フラメンコを紹介してくださったのと同じ方が薦めてくださいました。かっこいいですよ!
elly→ころんさん
2006/12/29 22:42

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