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zoom RSS ラマダンの夜〜第一夜〜

<<   作成日時 : 2006/10/06 01:29   >>

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第一夜の続きです。細切れレポでごめんなさい。
イランの国宝級カマーンチェ(お椀型の共鳴胴をもち、膝に立てて弓で弾くイランの伝統的弦楽器。バイオリンの原型とも言われる)奏者であり、ヨー・ヨー・マのシルクロードアンサンブルにも参加したカイハーン・カルホールと、同じくシルクロードアンサンブルに参加した若きサントゥール(台形の共鳴胴を持つ木製の撥弦楽器。ピアノの祖先とも言われる)奏者、シアマック・アガーイー(アガエイ)のデュオによるペルシア古典音楽の演奏。
ペルシア文化に多大なる関心を持っているということはさておき、カマーンチェとサントゥールの子孫であるバイオリンとピアノという組み合わせの演奏自体が元来大好きだということもあって、私にとっておふたりの演奏はこのフェスの中でも外せない公演のひとつでした。
ペルシア古典音楽の演奏を生で聴くのは、90年代初頭に来日したダルヴィーシュ・アンサンブル、それから「東京の夏音楽祭」で来日したホセイン・アリーザーデ、そしてこの前のシャハラーム・ナーゼリーに続き4度目。ダルヴィーシュ・アンサンブルを聴いた時にもサントゥールやカマーンチェは使われていたと思うのだけど、その頃の記憶が残念ながら全くない。当時の私にはペルシア古典はいささか難しすぎる音楽でした(まあ、今もそうだけど)。

そして、カルホール氏の演奏は、シルクロードアンサンブルの一員として参加したCDやNHKの番組でもちらほら聴いたことはあったし、トンバックとの競演のソロCDも一枚前もって聴いていたので、その素晴らしさはある程度分かっているつもりだったのですが、生演奏を聴いて、そして直にその佇まいを拝見して、その存在感に圧倒されるばかりでした。
でも、圧倒的な生のエネルギーを放つカリスマ性を持った人物とかってわけではなく、喋り方も含め、静かなエネルギーをうちに秘めた聖者のようなオーラを湛えている、それが私が受けた印象です。

アンプラグドのカマーンチェとサントゥールという「アコースティックの中のアコースティック」なライブ演奏は、一言で表すと第一幕のカッワーリーが「動」なら、こちらは「静」の音楽。
しかし、その「静」の中に秘めたる情熱たるや、凄まじいものがありました。楽曲の構成は70分間という長い時間に渡って即興の部分も含めたったひとつの曲を演奏するスタイル。しかし、そんな人間の集中力の限界を越えるかのような?楽曲構成にも関わらず、観客の注意が演奏から逸れなかったことからも、その技術と情熱が窺えるかと思います(まあ、ここちよい陶酔境←うたた寝に達してらした方もいらしたようですが)。カッワーリーが8拍子という分かりやすいリズムで乗りをつかみ易かったのに対し、こちらは即興演奏ということでただでさえ楽曲の理解が困難な上、CDでのようにリズムを取る楽器とのデュオではなく、サントゥールとのデュオであったため、リズムの面で私のようなリズム音痴には理解不可能な部分も多々ありましたし(アーヴァーズ:フリーリズムって言うんですかね)、調律の面でも、ペルシア音楽が用いる微分音が複雑すぎて本などで読んでもさっぱりわからない私なので、やはり難しかったのですが、それでもペルシアの古典音楽は本能的に好きなんだな〜。それに、氏の演奏にはどこかしらペルシア古典音楽では普通聴かれないような独特のグルーヴ感さえあったと思います。その辺りも聴衆の関心を引き、飽きさせない要因のひとつなのでしょうか。
(余談:この微分音が遺伝子的に身体に染み付いているため、イラン人には音痴がいない・・・と思う。←あくまでも私の印象)

そして、ステージ上に正座姿で鎮座し下半身を固定した状態で、上半身を前後にかなり激しく揺らしながら弓を弾く氏のスタイルは、ある緊張感を伴っており、聴衆の側にも一定の集中力を持って演奏に臨むことを求めているかのようでした。しかし、身体が激しく揺らいでいる状態で、あれだけ的確に音を捉えられるってスゴイ。そして、なんと言っても、圧巻だったのは、演奏が昂揚してきてカマーンチェの弓を激しく弾き弦をかき鳴らしたその時、ステージの暗がりにほわ〜っと白いものが立ち上がった瞬間。その瞬間たるや、とても鮮烈で、3次元どころか4次元をも超越していました(笑)。弓と弦の摩擦で湯気が立ち上ったんですよ!
後から思えば、楽曲のイメージもあるとは言え、他の出演者たちのステージに比べカルホール氏のステージは照明を落とし気味にしてありました。それもこれも、この「ほわ〜っ」を見せるための演出?!
暗がりに巨匠の放つオーラと、魂が空(くう)へ彷徨い出したかのように立ち上がった湯気、どこまでも澄んだサントゥールの響きに、シルクロードの草原の風を思わせるカマンチェの疾走、全てが相まって、モスクのような神聖な空間を作り出していました。う〜ん、神々しすぎる。

ペルシアを代表する音楽と言えば、タハリール唄法を駆使した声楽だと捉えられがちだけど、声楽以外でもこんな素晴らしい音楽があるんだと思うととても嬉しくなり、自由で神秘的で豪奢で繊細な気風に満ちたペルシア古典詩の世界とも密接な関係にあるペルシア音楽の懐の深さと完成度にただただため息をつくばかりでした。

(わーい!カルホール氏と一瞬だけどお話したよ!オーラにやられた!)


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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
 はい、うたた寝してました!(笑)
 新シルクロードOST以来ずっと聴きたく、愛知万博でのコンサート(シルクロードアンサンブル)ものがし、ついにまみえたカイハン氏だったのに…。

 しかしその芸術家魂はしっかり受け取りました。逆に言えばうたた寝をしていてすら鮮烈な印象を与えるだけの力量の持ち主ということですね。

 カマーンチェもサントゥールも初めてだったし、3日間の中でもメルジャン・デデに並ぶ印象の強さです。あの詩情の深さには度肝を抜かれました。

>ペルシアを代表する音楽と言えば、タハリール唄法を駆使した声楽だと捉えられがちだけど

 そうですね、たしかに歌がフィーチャーされることが多いですよね。
 しかしここ数年の国内コンサートのおかげで「歌も楽器も全部すごいのがペルシア」と皆さんの印象もシフトしつつあるかも?
えひ山
2006/10/06 18:52
いいですね〜
素敵なラマダンでしたね!
「イラン人に音痴はいない」というか、イスラームの人たちってリズム感と音感いいですよね。クルアーンが聞くものだからでしょうかね!?
いや〜イスラムに餓えている私にご馳走をありがとうございます。
aoi
2006/10/06 22:47
まさに!芸術家魂、しかと受け止めましたぞ!という感じです。演奏中目覚めていた私でも、今思えばなんだか夢の中の出来事みたいに思えます。神秘的でしたよね。
そうえいばここ数年、ペルシア音楽の公演、けっこう多い気がしますね。音楽をきっかけとして、ペルシア文化の素晴らしさが周知されるのなら、私はとても嬉しく思います。まあ、私が喜んでも仕方がないですが。
そして、これをきっかけにイラン(あるいは国外に住むイラン人)から、益々いろんな音楽家が招聘され、CDももっと様々なものが聴けるようになるなら、こんなに素晴らしいことはありませんよね。
elly→えひ山さん
2006/10/07 20:07
ラマダーン・カリーム!
そして、改めて、おかえりなさい、aoiさん!
そうそう、イランに限らずアラブを含めイスラーム諸国の人って、ほんと一般人に至るまで歌がお上手な方が多いんですよね。
aoiさんがおっしゃるよう、特にリズムに関してやはりクルアーンの特質が大きく影響していますよね。そして、いくつもの似た音の子音を持つアラビア語(ペルシア語)を日常的に発音しているがゆえに、音に対して非常に敏感なのでしょうね。日本人にはいくら勉強をしても真似できない部分です。
ところで、イスラームに飢えているとのこと。
aoiさん、そろそろ今度は西へ飛びますか?
elly→aoiさん
2006/10/07 20:15
ellyさま
…禁断の一言を!(笑)
都内のレストランで我慢しますからお付き合いのほど!
地中海部部長からそろそろ招集かからないかな〜?
aoi
2006/10/08 22:09
聞きましたよー。
都合が合えば喜んで!
guapoな方々を拝みに参りたいです(笑)。
もちろんaoiさんの旅話もたんまり聞かせてくださいね。
elly→aoiさん
2006/10/08 22:25

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