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zoom RSS 春霞 in Romania

<<   作成日時 : 2006/04/02 19:11   >>

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早くも4月に突入!
今年は桜の季節が例年より早く訪れ、至るところぼんやりと霞んだ桜の白に目が奪われて、歩みがついつい緩くなってしまいます。
新しい生活が始まるあわただしいこの季節、少し立ち止まって、緩やかに流れ行く時間を味わうチャンスを与えてくれる桜の風景。春霞を眺めていると、日本の自然は美しい!と、再認識できますよね。

みなさんはお花見には行かれましたか?
実は、私の趣味のひとつにお墓詣でというのがあります。
墓石や卒塔婆を眺めるのが好き(!)というのもあるのですが、何より、自然と溶け合った形で死者が祀られているその風景に安堵感を覚えるのです。ですから、きれいに区画整理された霊園には何の感慨も抱きません。むしろ草がぼうぼう生えたような、あまり手入れされていないお墓にワビサビを感じるのです。
でも、墓石に桜の枝がかかった風景は、日本の春を感じさせて素直に美しいと思います。

日本らしい風景と思っていたそんな私好みのお墓。でも、実は海の向こうの旅空の下にもありました!
手入れはとても行き届いていますが、自然と溶け合ったという意味で、とても印象に残っているのです。

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中世ヨーロッパの田舎の光景が今も色濃く残るルーマニア北方の辺境マラムレシュ地方。そのマラムレシュ地方の小さな村、サプンツァには、とてもユニークな墓が存在する。
墓石ならぬ木で出来た墓標に、死者の生前の生業や、死へと導かれた理由が、「絵」として描かれているのだ。その名も「陽気な墓」。
墓標のひとつひとつを眺めていると、こう名付けられたのも頷ける。
不謹慎ながら、中にはプっと噴き出してしまいたくなるような、ほのぼのとした絵も存在する。
車に撥ねられる人の姿など、笑い事でない絵もあるのだが、何せ作風がユーモラスなだけに深刻になりすぎるのを妨げている。
この「陽気な墓」を考案したのは村の名士イオン・スタン・パトラシュ。なんでも彼がトランシルヴァニア地方に住んでいた際、現地のハンガリー系の人々がこのような墓をつくっていたのを目にしたらしい(というのを何かで読んだのだが、どこで読んだかどうしても思い出せない)。イオン・パトラシュは故郷へこのアイデアを持ち帰り、1935年より、「陽気な墓」の絵付け・彫刻を始める。
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以前テレビで、メキシコの偉大な画家フリーダ・カーロが足繁く通っていた教会を見せていた。
その教会、名前は忘れてしまったけれど、人々が病気や怪我からの回復を祈願して自ら描いた「願掛け」の絵を、教会内部の壁いっぱいに貼り付けてあったのがとても印象的だった。プロの画家が書いたわけではないそれらのおまじないのような絵は、当然ながら素朴さに溢れていた。でも個人個人の溢れる思いを代弁するのに、目にしただけで誰にでも分かる具象画という形ほど、うってつけのものはないと思った。
このサプンツァの「陽気な墓」を目にしたとき、真っ先にこの教会のことが頭を過ぎった。
           


「陽気な墓」を訪れたのはルーマニアのちょっと遅い春。イースターの時季を過ぎたばかりのルーマニアの田舎は、新緑と春の花で溢れかえっていた。
この時ルーマニア全土を覆っていた季節の風物詩、ルーマニアの有名な蒸留酒ツイカの原料ともなるスモモの花が、まさに花盛りを迎えていた。スモモの花は遠目には桜の花によく似ている。
また、スモモに混じって、実際に桜の木もあることを後で知った。
雨が多かった旅の期間、空はどんよりと曇りがちだった。
日本の桜の風景には蒼い空が良く似合う。青空に映える白を目に優しく感じることによって、私たちは日本の春を意識する。
でも、マラムレシュの中世の街並みや田舎の風景には、この曇り空が良く似合う。
そして、「陽気な墓」の鮮やかな青やカラフルな赤が、スモモと桜の淡い白に彩りを添え、「色の競演」は完成する。



教会を併設する「陽気な墓」。
日曜日のこの日、墓は村中の人で賑わっていた。
熱心な信仰心を持つこの地の人々にとって、日曜日の朝教会を訪れるのは大事な習慣。
そして何もない田舎街で、週に一度村中の人々とお喋りするのは、この上ない楽しみでもあるのかもしれない。
お年寄りに混じって、同じくらいの数の若く美しい女性たちが、フォルクローレの世界から抜け出してきたかのような衣装で教会を訪れる。
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ここ、マラムレシュ地方はルーマニアのフォークロアの宝庫。
そう前もって知識はあっても、おそろいのかわいい花柄のミニスカートとスカーフを身に着けたうら若い美女たちが、色鮮やかなお墓の横で笑いさんざめくお伽噺のような光景は、とても現実離れしたものに思えた。

サプンツァ村の日曜の朝は、こんな風に過ぎていく。
教会の正面には、内部に入りきらない人々が溢れかえり、熱心に神父様の話に耳を傾けていた。
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*「陽気な墓」に関しては、ルーマニア在住のgo2rumaniaさんも書かれています。
永久に芸術を・・・ ~ サプンツァ Sapinţa ~




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コメント(18件)

内 容 ニックネーム/日時
いいですね、ルーマニアも「陽気な墓」も。
行ってみたいです、ルーマニア。

お墓詣でとは、またellyさんらしい趣のあるご趣味ですね。いままでellyさんのような視点で"場"としての墓地を考えたことはなかったので、目からウロコでした。
言われてみれば、桜とお墓って思いの他マッチしてますよね。
「願掛け」の絵にしても、祈りと心が込められた絵というものはプロ・アマ問わず、何か"語りかけてくる"ものがあるんだとと思います。僕も息子に絵の基礎を教え込んで自分が死んだら木の墓標にいっちょ描かせてみるかな…?                                                                                                                                                                                                                                      
questao
URL
2006/04/04 01:36
questaoさんとは好きな物事が随分かぶっていると勝手に思っているので、ルーマニアにもおそらく興味をお持ちだろうなと想像しておりました。「墓詣で」、我ながらヘンな趣味です。
questaoさんは自ら絵を描かれるので、画家(プロであってもアマであっても)の想いがとても強烈に伝わってくるのではないでしょうか。「陽気な墓」は、死者への敬意と共に、go2rumaniaさんの記事にも書かれていますが、「永遠に」芸術作品として残って欲しいという周りの人々の熱い想いが伝わってくるようでした。単に観光地として見てもかなり面白い場所ですけどね!
グウちゃんにquestaoさんの絵の才能まで伝わるとすると、(奥様の音楽の才能もあるし)、芸術面では鬼に金棒ですね!自分の子どもに自分の死後を託す、ステキです。ぜひ「陽気な墓by
questao家」、挑戦してください〜。
elly→questaoさん
2006/04/04 16:44
ルーマニアのお墓、明るくていいですね。
日本のお墓って暗い場所が多いし、痴漢が出るから近寄らないようにと言われて育ったので滅多に近寄らないですが、周りの景色も含めて芸術作品として残るようなお墓なら立ち寄りたくなってしまうかも^^;
wacky
2006/04/04 21:40
この「陽気な墓」は、ルーマニアでも特異な墓です。でも、こんなにアーティスティックはないけれど、他にもステキな墓地、ありましたよ!日本の墓には確かにおどろおどろしい雰囲気とか(痴漢がでたり)危ない雰囲気が付きまといますよね。外国のお墓って、もっと万人が立ち寄れる(と言ったら変ですが)、開放的な雰囲気があるように思います。アートなお墓、日本でもトライして欲しいものです。
elly→wackyさん
2006/04/05 12:57
TBありがとうございます(事後でも報告は
特になくても大丈夫ですよ〜)

****
マラムレシュの中世の街並みや田舎の風景には、この曇り空が良く似合う。
そして、「陽気な墓」の鮮やかな青やカラフルな赤が、スモモと桜の淡い白に彩りを添え、「色の競演」は完成する。
***
これ、なるほどーと読んでしまいました。
私が行ったのは初夏〜夏なので、
青空の下でしか見たことがありませんが、
確かにあれだけカラフルですし、曇りでも
十分映えますよね。
(このお墓について、MIKIトラベルの
方にもう少し細かく書いているんです、
以前にその時コメントいただきましたか?
ヤシの時と、もう一度頂いていると
思うのですが、思い出せなくてすみません
元記事のほうにもそのこと追記・リンクしておきますね)
go2rumania
URL
2006/04/05 23:00
逆に修道院は、よくイースターの時期に
メディアを含め取材が来るのですが、
その時は青が寂しい青に見えて、夏や
もっと光のある時に来て欲しいな〜と
思います。(その点、前回の週刊新潮で
撮って頂いた写真はパーフェクトでしたvv)

★シクを含めあの地域はハンガリー系が
たくさんはいっています。でも?シクの
表札はハンガリー語だったか・・・
表札なかったかもしれません;笑
ハンガリー・マラムレシュは近いですから
次是非またルーマニア&行きたい国の
ハンガリーかなえて下さいね!

go2rumania
2006/04/05 23:00
語学の習得についてのコメント、20件までということなので、こちらにさせていただきます。現在、日本でのギリシャ語の独学に行き詰まっているのでタイムリーなお話しでした。ellyさんの語学遍歴はすごいですね!ペルシア語、ヒンディー語などメジャーではない言語を学ばれているのが素敵!そしてその国の文化を感じながら、それぞれの言語がつながってくるなんて理想的です。
アラビア語の学校もスタートされたんですね!
如何ですか。うらやましいな〜。
私はもともとは日本文学専攻だったので外国語は学校で習った英語だけでした。大学の第二外国語もちっとも身につかずじまい。でも転機が訪れました。京都・奈良ばかりだった旅が海外に広がると、挨拶だけでも現地の言葉!と、まさに現地の人たちの笑顔を見て「会話」する楽しさを堪能しました。


さらさ
URL
2006/04/05 23:05
続きです。ギリシャに住んでからはellyさん方式で英語は使わずに現地語を勉強しては喋って・・と繰り返すと、程なく生活に困らないくらいにはなりました。でもレベルはまだまだです。ギリシャの友達とお茶をしていると最初はギリシャ語ですが、話が込み入ってくると結局は英語になってしまいました。
次回の滞在の為にギリシャ語上達を考えているところです。学校は遠かったり、生徒が少なくて月謝が高かったりと断念。今は独学・・。留学せずに勉強して通訳をされた方のお話しには学ぶところがありますし、もっと詳しく勉強法なども伺いたいくらいです。
そうそう、肉団子、ギリシャ語ではケフテです。小さな団子ということで一般的には「ケフテーデス(ケフテダーキャ)」と呼ばれています。やはり近いですね!
今日の「陽気な墓」についても興味深く拝見しました。コメントはまた次回にさせていただきますね。

さらさ
2006/04/05 23:07
コメント残していただき、ありがとうございます。ミキ・ライゼンの記事も読ませて頂いてました。本当はそちらにもリンクしたかったのですが、TOPページも個々の記事も全て同じURLだったためリンクしてもわかりにくいかと思い、断念しました。以前私がコメントさせて頂いたのは、ドラキュラとムスト(スペインでは「モスト」なので、やっぱり同じワイン文化圏ですね〜、という内容でコメントしました)についてコメントしたかと思います。
マラムレシュ、初夏のからっと晴れた青空と緑の中でも見てみたいなあと思います。ルーマニアはとにかく自然が豊富ですから、日本のように四季ごとに違った美しさがあるんでしょうね。修道院はストーリー性を持たせるために、確かにイースターの時季が取材は多いのでしょうね。そうか、あの独特の青は、光の下でさらに映えるのですね!雪景色も見てみたいですけど(雪深くて冬は辿りつけないかしら)シク村も、中世の世界に舞い戻ったかのようなあの雰囲気、訪れてみたいです。
elly→go2rumaniaさん
2006/04/06 18:03
お気遣いありがとうございます。あんなにたくさんのコメントを頂いたのは初めてだったので、表示が20件しかされないことを知りませんでした。
さらささんは日本文学を専攻なさってたんですね。その美しい無駄のない日本語の理由には、そのご経歴もあったのですね。ギリシア語を独学とは、現地で喋っていらした過去があるとは言え、大変でしょうね。何より毎日続ける根性を搾り出すのが大変ではないですか?近い将来、ギリシアと再会し、現地の人に笑顔を向けられているご自分を想像されるのが、一番の励みかもしれませんよね!
アラビア語は、まだ始まったばかりですが、クラスメイトが国際色豊かでなかなか楽しいですよ。いつかアラブ諸国を再度旅できる日を夢見て頑張ります!(続く)
elly→さらささん
2006/04/06 18:15
全く手を付けたことがなかった言語に現地に住んで初めて触れ、手探りで覚えていくという経験をしたことがないのでどんな感覚なのだろうと興味があります。(さらささんは現地に行かれる前に少し勉強されていたのでしょうか?)短い旅行では難しいかもしれませんが、少し長めの旅に出られる機会が来れば、全く言葉を知らない国に予習なしに行ってみたい気もしています。
留学せずにある言語を習得した友の話、今はインターネットでいくらでも勉強方はあるじゃないのと言われました。何事もほんの少しの頭の良さと、本人の努力次第なのでしょうか。とにかくあちらの国のニュース番組から娯楽番組までよくダウンロードしては聞き続けているようです。
ケフテの話おもしろいですね。「ケフテ」はギリシア語の単語としても不自然ではない、というか、トルコ語からの音訳(音写)ではなく、ギリシア語の単語そのもので「肉団子」という意になるのでしょうか?やっぱり言葉は興味深いです。これからもギリシアのことを始め、いろいろと教えてくださいね。PS:地球散歩のさらささんのギリシア語講座!いつも勉強させて頂いてます。(かろうじて字だけは読めるので)
elly→さらささん
2006/04/06 18:39
 お墓を見ていると、人生の無情と無常を感じませんか?
筑紫万葉
2006/04/15 20:49
そうですね、日本のお墓だと無常観を感じます。それこそ本文に書いたような、草が多い茂った少し寂れたお墓とかだと、尚更です。
でも、海外のお墓はあまりそういうものを感じさせませんね。あ、でも何もない砂漠地帯で、少し大きめの小石が地面にぽつぽつと刺さって墓標代わりになっていた墓場の光景を見たことがありますが、あれはなんだかとても無常感を覚えました。と同時に大地と一体になった感じもして壮大な印象も抱きましたが。
elly→筑紫万葉さん
2006/04/16 21:56
次はここに。語学の話も途中になっていてすみません!私の場合、ギリシャ行きが決まってから2ヶ月半で出発だったので全く勉強はできませんでした。文字を眺めるくらい。でも暮らしながらの現地語の習得は、使う機会もあり、目と耳からどんどん入ってくるし、楽しく日常会話はあっという間でしたよ。それ以上は文法も難しいし(数学のよう)まだまだこれからの課題です。それからκεφτες(文字が読めるとのこと、すごいです!)は辞書を引くとトルコ語の印がついていました。やはりトルコから来たんですね〜。言葉は本当に面白いです。
さて、「陽気な墓」。日本の墓地のイメージと全く異なっているので驚きました。春の花の盛りにはピクニックや散歩でも・・という感じですね。普通は自分の祖先にお参りするだけの墓参りですが、いろいろな人の人生を色鮮やかなプレートで知って共に冥福を祈りたくなるような気がします。それにしても、このようなユニークな場所をどこで知り、旅の計画を立てられたのでしょうか。
さらさ
2006/04/26 12:32
おお!そうだったのですね。
まさに私が体験してみたいことを、さらささんはされている!殆どゼロからの状態で語学を習得していく、それをぜひ味わってみたいのですよ。現地に行ったら、否応無く現地の言葉を覚えざるをえないとは言え、やはり消極的になっていてはいつまでも覚えられないですよね。さらささんはかなり積極的に現地の方々と触れ合われたんだろうなと思いました。それに以前伺ったとおり、息子さんがギリシアで教育を受けられたというのも良かったのかもしれないですよね。小さなお子さんがいると、現地のママさんたちと密な関係が築けそうですし、どんどん言葉を吸収していくお子さんと良きライバルとして、言葉が学べそうですよね。ギリシア語は文法が難しいとのこと、でもさらささんはそれらを意識することなくその言葉を喋っていたという逞しい過去があるのですから、理論面での吸収もきっと早いことだと思います。お勉強頑張ってくださいね。(続く)
elly→さらささん
2006/04/30 21:18
それから、ケフテのこと教えていただきありがとうございます(すみません、このブログコメント欄はどうやら、日本語英語以外は文字化けするようです)。そうですか、トルコ語から来たんですね!これだから地中海はおもしろい!
「陽気な墓」ですが、お墓という場所にも関わらず、実は「地球の歩き方」のようなメジャーなガイドブックにも載っているくらい有名な観光地なのですよ。知らない人のお墓にも関わらず妙に親近感を覚えるお墓もありました。まさにピクニックや散歩にでも訪れたい場所です。ルーマニア人も、お墓をバックに写真に納まったり、けっこう楽しそうにしてましたよ。
elly→さらささん
2006/04/30 21:19
こんばんは。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
ルーマニアのサプンツアの人たちもとりあげました。
よかったら、寄ってみてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
kemukemu
URL
2007/08/16 19:42
今日ちょうどルーマニアに思いを馳せていたところ、一年以上も前のこの記事にコメントを頂いたのでびっくり致しました。「大道芸観覧レポート」って、名前を読んだだけでワクワクします。今、日本を離れる前で少し慌しい日々を送っているのですが、ちょっと落ち着いたらゆっくり覗かせていただきます。お越し頂きありがとうございました。
elly→kemukemuさん
2007/08/17 00:51

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