ETHNOMANIA

アクセスカウンタ

zoom RSS 砂漠の旅(砂漠の饗宴)

<<   作成日時 : 2005/11/03 17:33   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 7

画像
ドゥーズの砂漠の夜。

7時くらいにショーの会場になるサハラ・フェスティヴァルのスタジアムへムハンマドと向かう。
会場にはまだスペイン人の団体は来ていなかった。小さな運動場くらいの広場を囲んでテントを張り巡らせているメインの会場を過ぎ、小さな砂丘がある方へと向かう。そこではハンディな太鼓を手に、野趣溢れるベルベルの歌やノマドの歌を奏でる男たちがいた。
そして、空には満月をほんの一日ばかり過ぎた大きな月が架かっている。まだ中空に昇りきらず、ヤシの木の間から煌々とこぼれ出でる月光と、燃え盛る焚き火に照らし出され、ノマドの衣装姿の男たちがテンポの速いリズムを刻む。ガイタの音色が太鼓に絡んでくる。
スタッフを除いてたったひとり、砂漠の饗宴を楽しむ。(なんて贅沢な時間!)

そうしているうち民族衣装を着せられたスペイン人の団体が到着する。陽気なスペイン人たちの存在がさらに宴を盛り上げる。
そして、楽器を演奏しながら、太鼓を打ち鳴らしながら、集団は先ほどの会場へと移動していった。
皆が席についてしまうと、改めてスペイン人の多さに驚く。ツアー団体と聞いていたから、数十人くらいのものだと思っていたら、優に100人超えている。若い人からお年寄りまで様々。
たった一人で来た私の正面には、少し離れてひとりポツリと座っている西洋人の男性がいた。

食事が始まる段になり、乾杯の準備が整った。イスラームの国にもかかわらず、当然のようにワインがサーヴされる。私は思わず背後に座っているおば様集団に声をかける。一緒に乾杯してもいいかと。彼女たちはとても陽気で快く仲間に入れてくれた。
ひとりで座っていた西洋人の男性にも手招きする。彼はおば様パワーに圧倒されたかのように、遠慮がちに仲間に加わった。

男性はフランス人で、バイクでチュニジアを周っているのだと言う。
彼はスペイン語を解さなかったので、そしておば様たちは彼が分かろうが分かるまいがスペイン語で攻めてくるので、日本人の私が彼らの通訳をするというおかしな事態に陥った。
ひとりずつ自己紹介が始まる。フランス人のJean-paulは覚えられたけれど、おば様たちの名前全てを覚えるのは困難を極めた。

食事が運ばれてきてしばらくすると、新たな宴が始まった。馬に乗った男性が騎乗アクロバットを繰り広げる。逆上がり状態になって乗馬し会場をグルグルまわる。女性が壷を頭に乗せ緩やかなダンスを繰り広げるなどなど・・・。サハラ・フェスティヴァルのミニ・ヴァージョンといった感じか。

しばらくすると観客を巻き込んだパフォーマンスが始まる。ノマドの衣装を身に着けたパフォーマーが、目を付けた観客を次から次に広場へと連れ出す。「ハイヤ!ハイヤ!(come on come on!)」という掛け声と共にせわしなく客席を駆け回るパフォーマーたち。
会場でたったひとりの東洋人の私は当然のように声を掛けられる。

円になってのジェンカのような舞。前の人の肩に手を掛けて、どんどん早くなるリズムに付いて行けず、むちゃくちゃに手が千切れそうになりながら、舞う。
久しぶりに運動会のノリを思い出した瞬間。でも運動会より数千倍楽しい!!

宴に誘ってくれたムハンマドは、その間客席をまわり、ヘンナのタトゥーをして商売をしていた。
「ムハンマドはアクロバットはやらないの?」と聞くと、「僕はsportif(スポーツマン)ではないから」とのこと。
宴はとにかく延々と続いたのだけれど、その間私は次から次にパフォーマーの餌食になり、広場にひっぱり出され、食事をする暇も写真をとる暇もないという有様だった。

やっと席に戻り、おば様たちやジャン・ポウルと話をする。おば様たちは、私のことを「ひとりで来るなんて、valiente(勇気がある)だ」と言う。この言葉、実は以前にも聞かされた。そう、モロッコの砂漠で出逢ったスペイン人たちにだ。スペイン人の女性だってひとりで旅をしている人はたくさんいると思うのだが。
確かに日本にいる時の私からは、今の自分は自分でも想像がつかない。
人とコミュニケーションするのに必要以上に力んでしまって、ヘトヘトに疲れ果てている自分が、旅の空の下ではある程度肩の力を抜いて、人生を楽しむことが出来ている。
この感覚は一過的なものに過ぎないかもしれない。だけど、自分の中に人生を楽しむ感性がまだ残されているという事実がこの上なく私を安堵させた。

宴もたけなわになったところで、一行は屋根付きの部屋へと移動した。ムハンマドがいろいろ親切にしてくれるので、私は裏方が動き回る部屋にまで入ることを許された。
そういえば、ムハンマドは「今日はショーがあるからこういう格好(民族衣装)をしているんだ。普段はふつうにジーンズとかだよ。」と言ってた。舞台裏を特別に見せてもらったみたいでおもしろい発言だった。

屋根付きの部屋では観客を巻き込んだベリーダンスのショー。シャーイ(紅茶)が振舞われた。着席してのショーではなかったのでいろんな人と話す機会がもてたところ、スペイン人だけでなく、ポルトガル人やイタリア人もいた。それらの殆どは個人旅行の人たち。地中海沿岸に住む人たちにとっては、チュニジアは旅行先としてやはりポピュラーなよう。

もう11時半を回っていた。ジャンは今からバイクでドゥーズから100kmほど離れたマトマタに取ってあるホテルへ向かうのだそう。

おば様たちとは抱き合って安全な旅を祈りあった。「Ten cuidad. Ten cuidad.(気をつけなさいよ)」と何度も繰り返された。年齢的に私が自分の娘と同じくらいだったから、余計に心配になったのかもしれない。

明日はいよいよサハラの大砂丘が広がるクサールギレンへ向けて出発する。運転手のアブデルが9時に迎えに来てくれる予定。宴で興奮した頭を冷やすべく、オアシスの空気を胸いっぱいに吸いながらホテルへと向かった。
中空に昇りきった月が静かにヤシの葉先を照らしていた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
 ツアーで行くより、何倍も実のある外国訪問ですね。一人では心細いにしても、今の団体旅行のありかたには、いささか疑問を禁じえないなあ・・・
筑紫万葉
2005/11/03 19:57
こんにちは。
風邪の後の身体,元に戻りました?
それにしても,ellyさんは凄い!日本人にしておくにはもったいない。ちがう,ちがう。
日本人の鏡。スペインの方とフランスの方の間を,イスラム圏で取り持つなんて。凄すぎる!
本当に日本国の繁栄を思ったら,外国語を取得する必要があるのですよね。(って,右翼的になってきましたのでやめて。)この写真はなぜか私の好きな構図です。多分。ではまた。
NAKA > ellyさん
2005/11/03 19:59
イスラーム圏は女性がひとりだと苦労することも多いですが、困っていたら大概誰かが助けてくれる(たとえば道がわからなかったら目的地まで一緒に行ってくれるなど)ので、比較的旅行しやすいです。ヨーロッパの都会などでは、人がつめたいと感じることも。誰にも邪魔されずにゆっくり観光したい場合はそれでもいいですが、個人旅行だと孤独を感じることがありますよね。そういう時は人々のおせっかいでさえあったかく感じるなあ。
elly→筑紫万葉さん
2005/11/03 22:18
ブログ上で再三風邪を引いたという話をしていたので、いろんな方にご心配おかけしてしまいました。恐縮です。
語学はやはり大事ですよね。
というより、その国の言葉やいろんな言葉を少しでも知っていれば、旅が何倍も楽しくなるのは事実ですよね。私は仕事に使えるほどできる言語はないんですが、旅の前に簡単な会話を詰め込んでいくんで、旅の間はなんとかコミュニケートできてます。
これから、ひょっとしたら日本人も海外に出て働かないといけないことが増えるかもしれないですよね。(言葉は悪いですが、いろんな国の方が日本に出稼ぎに来ているように)そうなったら否が応でも日本人も数カ国語喋らないといけない時がくるかもしれませんね。
(旅の)写真は、スナップ写真をデジカメで撮影してパソコンに取り込んでいるので(スキャナがない)、画質がめちゃくちゃ悪くて残念です。この写真は私も構図が気に入っています。NAKAさんとは気が合うなあ。
elly→NAKAさん
2005/11/03 22:26
オハヨウゴザイマス。
どうにも日本語の使い方が怪しくなっている
NAKAです。「日本人の鏡」ではなく「日本人の鑑」が正しい使い方でした。
NAKA
2005/11/04 07:38
こんにちわ。
旅レポートとてもおもしろいです^^;
スペイン語もできるんですかぁ〜。スペインのおば様の集団の会話はすごそうですね。日本のおば様の集団の会話もおもしろいですし。おば様はパワフルだ!
一人海外旅行だとつい無口になりがちですけど、たくさんの人とコミュニケーションしていていい旅ですね。ellyさんの積極的なことには本当に驚きます♪
wacky
2005/11/04 12:44
おもしろいなんて言っていただけてかなり嬉しいです。旅レポなんて言っても、何か役に立つ情報を提供しているわけでなく、自己満足の世界ですから。

しかし、この積極性が日本にいる時に発揮できればいいんですけど。。。ね;
スペイン語はちゃんと勉強したり習ったりしたことないんですが、フラメンコが好きだったり、映画が惹かれるものが多かったり、他にもスペイン文化は大好きな部分が多いので、実は私にとっては一番覚えやすい言語です。楽しくないと覚えない頭ですから。(でもたいしてできないですよ)
elly→wackyさん
2005/11/04 14:27

コメントする help

ニックネーム
本 文

Welcom Map

welcommap
Welcom Map
砂漠の旅(砂漠の饗宴) ETHNOMANIA/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる