ETHNOMANIA

アクセスカウンタ

zoom RSS 砂漠の旅(別れ)

<<   作成日時 : 2005/11/07 19:18   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

夕方も近くなってきたので、我々が乗った車は北上し(正確には北東の方角へ向かい)、メドニンの街へと入った。

メドニンは久しぶりの「街」だった。銀行が立ち並び、ロータリーでは多くの車が行き交い、砂漠地帯を通ってきた者の目には、大都会だった。メドニンはリビア国境に近い(とは言っても100kmくらいはあるらしい)場所なので、それこそかつてはチュニジア南東部の交易の中心地だったのだろう。
通りには石油の缶が積み置かれ、露天が開かれている。(地方地方によって通り沿いの露天の内容が違うので、どこの都市を車で通っていても飽きることはない。)この辺りはリビアとの国境で、石油が他の地域より安いということだった。(チュニジアは国土が狭いので産油量も少なく、石油が他の北アフリカ諸国よりはどうしても高くなるのだろう。)リビアへ向かう大型トラックもしばしば通り過ぎ、国境の街であることをひしひしと感じた。外国人には難しいであろう、チュニジアーリビア間の国境越えも、現地の人にとってはそう難しくないのか。

メドニンにもゴルファがあるというので、見に行くが、土産物屋がゴルファの内部を占拠し、見るべきものはなかった・・・というか、見ようと思っても土産物屋が次から次に近寄ってくるので、見学をする雰囲気ではなかったのだ。ひとまわりして早々に退散。
アブデルは、メドニンにもうひとつまあまあのゴルファがあるけれど、見たいか?と聞いてくる。
私は躊躇った。
なぜなら、もうこれでいい、と言ってしまえば、アブデルとのお別れの時間がきてしまう。
しかし、陽はだいぶ暮れかけていた。朝8時に出発したことを考えると、ずいぶん長い時間アブデルを拘束することになる。これから彼は、さらに北にある地中海岸の都市、チュニジア南部への東側の入り口の都市(中央部はトズールが入り口といえる)、ガベスまで私を送り届けてから、さらにトズールまでその日のうちに帰らねばならない。

躊躇したあげく、「もうガベスへ向かいましょう」と言った。

メドニンを出ると、ガベスはすぐだった。

ガベスの鉄道駅を過ぎた辺りから、もう気持ちのコントロールができなくなっていた。
とめどもなく涙が溢れてくる。

モロッコの砂漠を去る時にも同じことが起こった。
その時は、同じ家族のもとで3日間ほどお世話になった後だったということと、文字通り旅の終わりだったからというのもあったのだけど、それよりも何よりも砂漠の風景が、私の頭をおかしくしてしまったのかもしれないと、強く感じていた。今回もそう、私は砂漠を離れるのがこの上なく辛いのだ。

そして、勿論、親切にしてくれたアブデルと別れることも。アブデルは、「次にチュニジアに来る時のことを考えなさい」と言い、なだめてくれた。だけど、私は感情を抑えることができなかった。

恐れていたことが、起きてしまった。砂漠を離れると共に、もう旅が終わってしまったような気分になったのだ。実際にはまだ旅の中盤。これからチュニジアを北上し、まだまだいろんな都市を訪れ、その上イスタンブールに数日滞在してからの帰国、となる。

別れ際、チップを受け取ろうとしないアブデルに、無理矢理チップを渡した。
涙に曇った目で住所の交換をした。
「今度はいつ来るの?」と前向きな発言で私をしきりに慰めてくれる。
アブデルは最初から最後までチュニジア人にしては控えめで、そしてとても気の付く優しい人だった。発言に無駄はなく、こちらが質問をした時のみ、的確な答えをくれた。観光地に対する知識も豊富で、ガイドなんかいらないくらいだった。私のフランス語力が至らず(アラビア語は言うに及ばず)、せっかくいろいろ教えてもらえるチャンスを言葉の問題で逃したことだけが悔やまれた。
でも、言葉なんかなくても、アブデルがとても「あたたかい」人であることは十分に感じられた。
数日間を共にする運転手としては、最高の人だったと言える。

アブデルと別れた後、一気に身体の力が抜けていくのを感じた。
呆然としてホテルのレセプションへたどり着くと、涙の跡に気付いたのか、レセプションの人が、「Separation is always difficult,no?」と、ひと言私に声を掛け、黙って頭を撫でてくれた。

「サハラに一時でも身を置いた人間は、もはや決して(それまでとは)同じ人間ではいられない」と言ったのはボウルズだったか、ローレンスだったか。。。
砂漠に魅せられた、という言葉はあながち大袈裟ではない、と身をもって感じる。
ひと度、砂漠に身を置いた人間は、その後再びその地を踏まずにはいられない衝動に駆られるのだから。。。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
沙漠の魅力がそれほどのものとは・・怖さはないのですか?魅せられること自体が、既に怖いといえないことはない・・かな?テレビでしか知らないけれど、確かに不思議なものですネ。
筑紫万葉
2005/11/07 20:31
怖さ、ですか。勿論あります。特に初めてサハラへ行った時には、怖さを強く意識しました。でも、自分の感覚がクリアーになっていくのを感じられるのは、とんでもなく気持ちが良いものです。筑紫万葉さんがおっしゃるよう、魅せられること自体が怖いとも言えますよね。
elly→筑紫万葉さん
2005/11/08 14:14

コメントする help

ニックネーム
本 文

Welcom Map

welcommap
Welcom Map
砂漠の旅(別れ) ETHNOMANIA/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる