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zoom RSS 彩の国ワールド・ミュージック・フェス〜ジプシーの季節 time of gypsies〜

<<   作成日時 : 2005/10/12 16:32   >>

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ブログの即時性を利用できず、ライヴのご報告がすっかり遅くなってしまいました。ライヴレポのようなものは、早いに越したことはありません。自分の中でも感動の波が徐々に退いていってしまうからです。
とはいえ、感動を追体験させて頂くためにも、遅ればせながら(そして勝手ながら)、先週末8日9日に行われたフェスのご報告をさせていただきますね☆

フェスは埼玉県の彩の国さいたま芸術劇場にて、ワールド・ミュージック・フェスと銘打って行われました。『ジプシーの季節』というライヴイベントがこの催しのハイライトでしたが、それ以外にも、日本のジプシー音楽演奏家による演奏会、ベリーダンスのワークショップ、ライヴ・ペインティング、ジプシー映画の上映(『ジプシーの季節』出演者にちなんだ3作品が上映されていました。)ジプシーの村の写真展、バザー、地元町会やエスニックのバザーなどが行われました。

9日16時より行われた、メインの『ジプシーの季節』は3部に分かれ、3時間以上に及ぶ長いライヴでした。1部をローナ・ハートナー&DJ Click、2部をピエール・ブランシャール&ドラド・シュミット カルテット、3部をファンファーレ・チョカリーアが担当しました。

今日は私にとって一番のお目当てだった、1部のローナの公演の模様をお伝えします。

ライヴは先に発売されたアルバム『ブーン・バ・クラッシュ』に基いて進みました。
スローな、ちょっとジャジーな感じがするインストが暗闇で鳴り響く中、どこからともなくローナの歌声が流れ出す。観客は一斉に客席後方に注目しました。ローナはなんと客席より、黒いフード付きのマントをはおって、ワインの空ボトルの入った袋を担ぎ、登場。ゆっくりステージへ向かう。実はこの[Sticle Coale Cumpar](邦題「ビン売り娘」)という曲は、ジプシーの娘が生業として空き瓶を回収してまわり市場で売っている様子を歌に描いたもの。途中売り子風の朗誦をするローナ。お恥ずかしながら、私の目からは生ローナを見れた感動で涙が溢れてきました。2曲目は打って変わってテンポの速い曲。ローナはマントを脱ぎ捨て踊りだす。下には身体のラインのはっきりした赤いドレス。美しい!明るくなったステージに見えるのは、DJ用の機材の後ろで縦横無尽に動き回るDJ CLick、そしてバンド編成はヴァイオリン、アコースティックギター、アコーディオンというシンプルな楽器陣。(尤もリズム隊はDJによる打ち込みですが)実は私はブラスを多用した音楽が結構苦手で、弦楽器主体の小編成の音楽が、ジプシーに限らず好きなので、この組み合わせはベストでした。(CDの説明を見ると、ローナのバンドには他にツィンバロムダブル・ベースの奏者がいるようでしたが)アラブ風のメロディーのフランス語曲[Celui Qui Trahit l'Amour]ではギターのフレーズはフラメンコ風だったり、様々な音楽の要素が混合していて、まさにジプシー音楽の通ってきた道を思わせます。そして、クラブ音楽テクノに全く関心のなかった(とうより聴かず嫌いだった)私にも、テクノとの融合は案外耳に心地よいものがありました。ローナは言っています。「ジプシーの音楽家はとても自由な精神をもっているの。彼らはインド、アラブ、トルコ、ユダヤ、ルーマニア、ブルガリア、そしてジャズからの影響を受けている。それに彼らには限界がないのよ。サルサヒップ・ホップみたいな新しい音楽に出会っても自由に演奏するの」(CDショップにおいてあった当イベントのチラシよりサラーム海上さんのテキストを抜粋)このテクノとの融合の新しいジプシーミュージックを聴いていると、ローナの言をひしひしと実感させられます。ステージの上を自由気ままに踊りまわるローナのように、アレンジが自由で、いろんな音に対して開かれた音楽、それがジプシーの音楽なのだ、と。
曲目には、結婚など、ジプシーにとっても大切な通過儀礼を描いた曲もあります。それに、ジプシーの伝統音楽の詩をローナがアレンジしたものなど、ジプシー文化へのオマージュと思える作品が多数あります。「ブーン・バ・クラッシュ」自体が、ジプシーのひとりの娘の人生を描いたコンセプトアルバムとなっています。アルバム全体をとおして聴くと、ジプシーの人生が自ずから見えてくるような仕掛けになっているのです。

ステージには小物もいろいろ登場して観客を楽しませてくれました[Solo Lume](? タイトルに自信なし)という酒を謳った曲では、でっかいワインのボトルから、バンド仲間の頭にワインをそそぐ真似をしてみせたり、途中、ジプシー風の衣装に着替えてきた後の演奏では、ルーマニアの工芸品、木彫りの大きなスプーンを両手に持って裸足で踊りながら歌う(この自然児的で奔放なところもローナの魅力)。とにかく自由な雰囲気で、パフォーマー自体が楽しんでステージをつくりだしている熱気が伝わってきました。DJ Clickのホイッスルに合わせ、小鳥の鳴き声を真似るヴァイオリンの演奏など、技巧的な面でも楽しめました。

1部のラストは大編成のバンド、マハラ・ライ・バンダが加わってのステージ。とにかく賑やかで、ジプシー集落でのフェスティバルを連想させられました。

ローナ・ハートナーはジプシーの血は受け継いでいません。それなのに、ジプシー音楽への造詣が深いだけでなく、ジプシーそのもののように情熱的に、しかし悲哀に満ちた振る舞いをするのです(これは本物のジプシーを知らない人の単なるイメージですが)。主演映画『ガッジョ・ディーロ』を観た時点では、私はローナがジプシーでないことを知りませんでした。それほど、粗野だけど情熱的なローナの演技が、ジプシーの集落に自然と溶け込んでいるように見えたのです。

3部までの全ての演奏が終了した後、CDを購入した人対象のサイン会が行われました。
私は気合が入っていたためか、気が付けば何故かローナの列の一番前に陣取っていました。
生ローナをこんなに近くで見れるなんて!演奏が始まったときには感動で涙していた私でしたが、今回は緊張でそれどころではない!!「Je t'adore(大好き!)」なんて、ずうずうしいことを口走りながらローナとハグしてました!(うわ〜;)DJ ClickとローナのサインをCDジャケットに頂いて、一緒に写真まで撮っていただいて、夢のような一瞬でした。余談ですが、「ありがとう」と「さようなら」だけルーマニア語で言うことができて、ローナもルーマニア語で返してくれて、こんな時はほんと簡単な挨拶だけでもルーマニア語やってて良かったなあと心から思いました。所詮語学習得の動機ってこんなものですよね?!DJ Click(フランス人、ちなみにローナもフランスで活動しています)は[merci]をどうしても日本語で言いたかったのか、「ありがとう」とパリジャン訛りで返してくれました。(ありがとうの「り」が「ぎ」のように聞こえる)というか、こちらが貴重な時間を割いて頂いて写真を撮ってもらったのに、「ありがとう」なんて!またしてもテクノへの偏見?が取れた私でした。(テクノ好きの皆様、本当にごめんなさい;)

こんないい思いはポピュラーミュージックのライヴではなかなかできませんよね。
ワールドミュージックのライヴだったからというのもあるのでしょうが、何より企画会社プランクトンの粋なはからいなのではと思いました。

ちなみにプランクトンのwebサイトで、今回の出演者の来日時の様子などがレポされています。ジプシーやケルトに強い会社のようで、他にも様々なアーティストの紹介やオフィシャルページへのリンクがありましたよ。
http://plankton.co.jp/

次回はピエール・ブランシャール&ドラド・シュミット カルテットとファンファーレ・チョカリーアのライヴの模様をお伝えします。とはいってもローナのライヴほど詳しくはレポできそうにありませんので、ご了承ください。


*写真はお二人のサイン入りCDジャケットを撮影したものです。

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。ライブの仕掛けも、その後のサービスも素敵ですね。普通ここまでやらないよ〜。企画会社も仕事という以上の愛情を感じます。ellyさんのジプシー音楽への愛情もひしひしと感じました。ライブ以外の併設イベントも見に行かれたんでしょうか?またレポートして下さいね。
そういえば、今日は久しぶりの更新だなあって思ったけど、数えたら3日しか経ってなかった…。いかにマメに更新してるかってことだよね。料理家になれそうだなあって思っていつも見てます。
saji
2005/10/12 21:57
記事読ませていただきました。
感動が伝わってきますね。ええなあ。
やっぱり音楽はライブじゃないと!!
NAKA
2005/10/12 22:28
長々と書かれたレポを読んでいただきありがとう!自分が行ってないライヴのレポって読むのしんどいですよね。音楽雑誌読んで、書き方研究しよっと。この前のNAKAさんへのコメントにも書きましたが、企画会社がナイスで、以前行ったライヴでもいい思いさせてもらったのよ〜。12月にもプランクトン企画の別のライヴの予定が入っているので、良かったらまたレポ読んでくださいね。他のイベントの様子はあまり見る時間なかったのですが、次の次の回に書く予定です。料理はまだまだですよ。いろいろ教えてもらってます。そうそう、先日『誰も知らないインドカレー』の渡辺さんにご丁寧にメールを頂き、カレーにはブイヨンキューブを入れないほうが本格的な味になるとご指導いただけました。もし試される際は参考にしてみてくさい。
elly→sajiさん
2005/10/12 22:50
レポ遅くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。NAKAさんがおっしゃるように、「音楽はライヴじゃないと」と思わせてくれるライヴでした。普段はおとなしくCD聴いてる方が好きな私ですが、ジプシーはやっぱ生がいいですね(NAKAさんはジャズファンだから、余計にそれを感じられるのかしら?)特に、次に書くファンファーレ・チョカリーアは屋外だとなおいいですね、きっと。
elly→NAKAさん
2005/10/12 22:59
ellyさんの感動と興奮がたくさん伝わってきました!素敵なライヴでしたね。ジプシー音楽って聴いたことないですが、ellyさんの記事を読んでいたら興味が出てきましたよ♪写真のローナ・ハートナー、美しくてかわいいですね。ハグまでしちゃって、ellyさん、ハッピーでしたね♪
hoaloha
2005/10/13 09:01
レポ、お恥ずかしいところも満載です。でも、ジプシー音楽に興味を持っていただけるなら嬉しいです!ローナは、ほんとキュートでした!映像よりも本物の方がずっと!(って、ファンはそう思うものかな?)機会あらばいつか『ガッジョ・ディーロ』観てみてください!
elly→hoalohaさん
2005/10/13 14:13
私の生まれ故郷でロナが歌ったなんて、やっぱり日本は凄すぎる。音楽だけならいいんですけど、日本に本物のロマが移住したらそんなにうれしくない人も多いんじゃないですか。トランシルバニアの彼らは花のように美しいけれど、ルーマニア人たちはやっぱりロマ嫌いが多いです。ロマの喧嘩や盗難がしょっちゅうあるところに住んでいますが、このページを読んでなごみました。イザベル・フォンセカの「立ったまま埋めてくれ」を読んでください。
ドナ
2005/11/01 07:28
貴重なコメントありがとうございました。ドナさんはルーマニアにお住まいの方ですか?ロマについては、そうですね。ドナさんがおっしゃるとおりだと思います。日本人は歴史的にロマと接触を持ってこなかったので、過剰にロマンチックなイメージだけを保持できたところはあると思います。それはやはりロマの音楽に対する姿勢や「放浪」の人生というステレオタイプのイメージが定着してきてしまったせいもありますよね。同じように(あまりこういうこととか言いたくないんですけど)、ユダヤ人やアラブ人が日本に対して悪いイメージを今まで持ってこなかったのは、歴史的に直接的なつながりがなかったからに過ぎないと思うんです。(余談でした)
ルーマニアを訪れた時に、一般のルーマニア人から「ロマにだけは気をつけるように」と再三言われたり、私がロマのことを口にするとイヤな顔をされたり、明らかに知らん顔されたりと言うことがありました。(続く)
elly→ドナさん
2005/11/01 12:22
いち早く国家というものを築き上げてきたヨーロッパの人の中で、また90年代から加速し始めた民族主義の風潮の中で、彼らがおかれてきた立場には非常に興味があります。
「立ったまま埋めてくれ」は未読ですが読みたいと思っていました。これを気にぜひ手に取りたいと思います。コメントありがとうございました。
elly→ドナさん(続き)
2005/11/01 12:23

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